いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「弱キャラ友崎くん Lv.7」屋久ユウキ(ガガガ文庫)

俺をとりまく環境の変化は劇的で。けれど、そんなことはお構いなしに時間は進んでいく。菊池さんとの脚本、みみみとの漫才、それぞれに取り組みながら、日南から課された課題にも挑んでいく。文化祭の準備もいよいよ佳境。演劇の練習が、ついに始まった。登場人物と演者のイメージを近づけるため、俺と菊池さんは「日南の過去」を取材することになるのだが……? 掛けられた言葉。誠実の意味。向き合った、彼女の気持ち。
俺の、俺たちの――。一度きりの文化祭が、幕を開ける。


友崎くんが中間目標最大の試練「彼女を作る」に挑む文化祭編。
今回のテーマはずばり恋愛。日南から課される課題もギャルゲー風で高難易度。だったのだけど、みみみにしろ菊池さんにしろ、好感度がすでに規定値に達していて課題こなす意味は特になく、課題とともに日南師匠の影が薄い珍しい話に。その分「彼氏彼女とは」「付き合うとは何なのか」を、真剣に悩み真面目に考える青春ど真ん中の話になっていた。
友崎くん、君こんな時でも正攻法な正面攻撃なのな。こんなセンシティブな話を恥を忍んで聞き回る、友崎の行動力と胆力に感心する。その中でも理詰めの友崎と感覚派な中村の噛み合わない会話が印象的。理由を見つけて自分を納得させてから動く友崎には、中村の感覚はわからないだろうなあ。うん、俺もわからんw
で、気になる結果の方は、
やった――――――――――――! 
3巻のやりとりと、6巻と6.5巻の流れからは予想外なのと、自分は負けヒロインを好きになることが多いので、報われないのは慣れっこというのもあって望外の喜び。
でも複雑。というか怖い。
物語全体で見た時に、彼氏彼女になるタイミングが早すぎる。だって超絶強キャラが手付かずで残っているんだもの。結局彼女はラスボスなのかメインヒロインなのか。それによってラスボス戦のパートナーなのか、友崎の経験値稼ぎの為なのか、役割が変わってくる。それに彼女は心では泣きながら笑顔で送り出すを、普通に出来てしまいそうなのが怖い。
青春成分大増量で、ゲーマーらしい逆転劇で、押しヒロインが報われて、選ばれなかった方にも十分な見せ場があって、とてもとても面白かった。
続きを思うとヤキモキするが、今は束の間かもしれない幸せに浸っていたい。