いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「安達としまむら8」入間人間(電撃文庫)

高校二年生の十月は修学旅行の季節らしい。となると班決めがあって、席を素早く立つ安達の姿が目に飛び込んで来る。
「なにかな足の速い安達」
「班は、一緒で」
「うん」
当然そうなるのだ。
ただ問題は、班を作るには五人必要ということだ。安達の性格からして、二人きりじゃないと不満だろうし、どうしたものか。
意識して準備する物もないし、二泊三日の旅行で私服が必要なわけもなく。流れるままに、ぱーっと、出たとこ勝負でいいかな。


!? 27歳……だと!?
突然10年後の未来から始まったオープニングに驚いたが、本題は予定通りに修学旅行編。
これまでの話は、しまむらが好きすぎる安達のはち切れんばかりの想いを、可愛さと痛さと危うさを感じながら見守るのがメインだったと思う。しかし、今回はしまむらメイン。彼女の今の心境と変化の過程が丁寧に語られていく。

旅行中も今まで通りにわたわた安達ちゃんとしまむらママ状態なので、しまむらは呆れてるんじゃないかと思っていたら意外や意外、安達のこと、自分自身がどう思っているかを真剣に悩んでいた。達観したオカンのイメージだったよ。
なるほど「お気に入り」ね。しまむらの性格とその言葉はしっくりくる。これがしまむらの「好き」の形なのかな。
相手への執着はもちろんのこと、好きの感じ方も熱量も安達とはまるで違うけど、しまむらしまむらなりに安達が特別な存在なのだと分かってニヤニヤが止まらない(パンチョGJ!)。それに、しまむらもちゃんと思春期の女の子だったのがなんだか嬉しい。
正直なところ、いつ安達が暴発して関係が破綻するか気が気ではなかったのだけど、しまむらがこの調子なら安心して幸せな未来が想像できる。良かった。まあ10年後の未来は確定してしまってますがね。それにしても落ち着いてたなあ、未来の安達。ここから安達が落ち着いていく過程がまるで想像できないんだが(苦笑)
最終回的話だけど、最終巻ではないらしい。未収録短編とかかな?