いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「三角の距離は限りないゼロ3」岬鷺宮(電撃文庫)

文化祭実行委員なんて、柄じゃない。でも僕らの関係を変えようとする春珂の願い、春珂を想う秋玻の気持ちから委員として動き始めた僕は、かつての僕を知る庄司霧香と出会う。再会なんてしたくなかった。霧香は僕が別れを告げたはずの「過去の自分」を育てた人だから……。
華やかな文化祭の裏側で、彼女は僕らの恋に隠れた、何より僕が隠した欺瞞をこそ残酷に暴いていく。
もう戻れない僕らの関係。揺さぶられる『僕自身』のあり方。そして、舞台の幕が上がる――。
僕と「二重人格」の彼女たちが紡ぐ、三角関係恋物語


春珂に請われ、隣の高校との合同文化祭の実行委員に選ばれた矢野は、キャラ作りの師匠・庄司霧香と再会する。

矢野少年が悩んで終わった。矢野が秋玻と春珂との関係に答えを出すのに必要なステップなんだろうけど、ヒロインそっちのけでやることなんだろうか。
前回のラストに続いて押しの一手だった春珂は出番が少ないなりに存在感はあったものの、秋玻は完全に空気。実行委員でずっと一緒にいるはずなのに。秋玻派で、今回の登場人物の言うところの「陰の者」に近い彼女が大胆な行動をする時が一番好きな私は不満です。大変不満です。彼女も悩んでいたのだから、そちらも描写してくれれば、三角関係の物語らしくなったのに。
それでも矢野の悩みに共感できていれば、彼の成長を見守る青春ストーリーとして楽しめたんだろうけど、その悩みが理解できない。
キャラを作るか作らないか、どうして0か1しかないのだろう? 程度の差や良し悪しは置いといて、親しくない人には外面で、気の置けない人には地を出すのは普通のことでは? 小学生でも使い分けるだろうに。
キャラを作るのは友達に嘘をついているみたいで嫌だというのは解る。でもそれを赤の他人相手に感じるか? 感じないと思うけどなあ。そこが思春期特有の潔癖さであり、矢野の真面目さ誠実さ……なのかなあ……うーん、わからん。
三角関係の恋物語から離れてしまって、主人公が何に悩んでいるのか分からず、なんだかなあといった感じ。
次こそ「三角関係恋物語」に期待したい。