いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 (29) 追跡編 〈下〉」佐島 勤(電撃文庫)

二〇九七年七月。達也は富士樹海に潜伏する光宣を追い、張り巡らされた結界『蹟兵八陣』を破る方法を思案していた。
一方、USNA軍非合法魔法師暗殺者小隊『イリーガルMAP』が達也の暗殺に動き出す。その魔の手は彼の友人たちにも向けられることに――。
さらに達也の前に立ち塞がる刺客・藤林長正。希代の忍術使いであり亡霊を操る強敵を前にして、ついに精神体をも消滅させる達也の新魔法『アストラル・ディスパージョン』が放たれる!!
水波救出のため、猛進する達也。しかし彼の前に次は『あの男』が『最悪の敵』となって立ちはだかる――!?


まるで進まない状況、強すぎる達也を苦戦させるのに四苦八苦しているように見える展開。上巻と変わらずというのが率直な感想。
それでも今回はVS師匠という見せ場があったのだけど(帯やあらすじは『あの男』と濁しているけど、口絵で早々にネタバレしてるから別にいいよね)……うーん、地味。
まあ、隠遁を得意とする忍者と、それに情報次元で対抗する達也では派手になる要素がないよね。でも、それ以上にそこに至る経緯が強引だから盛り上がらないんだと思う。師匠が出張る必然性が全然ないもの。達也的には、お祓いの技術を習得したのが今回のハイライトだったような。
そんな、今回も燻っていた達也に代わって、一高生の仲間達が活躍は盛り上がった。
美月のナイト吉田の奮闘と苦戦は達也のそれと違って手に汗握るし、洗脳を跳ねのけるほのかの想いの強さに胸が熱くなる。
前後編あっても進まない追跡編の展開といい、あとがきの一文といい、先が不安になる内容だったが、しがらみの多い日本を出ればきっと大暴れしてくれるはず。きっと。