いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「漆黒の狼と白亜の姫騎士 英雄讃歌1」森山光太郎(メディアワークス文庫)

端整な顔立ちに幼さを残す少年──エゼアル・スラヴァード。フェガリ皇国に彗星のごとく現れた将校は、内に恐るべき戦の才を秘めていた。
隣国、アウルム王国にも時同じくして、一人の少女が出現する。神将と名高い元帥の秘蔵っ子ルーナ・ミセリア。
後世、革新の年と呼ばれる大陸暦547年。宿命を背負う少年と少女が出会う時、戦乱の世は大きく動き出す。数多の勇将、知将が交錯する大陸の覇権の行方は? 読み出したら止まらない! 傑作ヒロイックファンタジー登場!


各国の英雄がしのぎを削る戦記ファンタジー。8年にも及ぶ戦乱の物語の序章……らしい。


読 み に く い この一言に尽きる。


以下酷評


厳かな雰囲気を出す為なのか、時代がかったような変に硬い言い回しが多いのが読みにくい原因の一つではあるが、そこは一応ラノベ読みの端くれ。文法の怪しい日本語、日常使われない語彙、変な漢字で変なルビなんて日常茶飯事なので、そこは苦にはならなかった。
では何が悪いのか。読みにくさを感じる最大の原因は、固有名詞。
字面や語感の似たカタカナ4文字の人名地名が多すぎる。とにかく「ロ」と「ア」が多すぎる。誰が誰だか、何が何だか全然頭に入ってこない。
さらに、名前を覚えるのに必死で、内容チンプンカンプンのまま第一章を終えると、第二章で始まるのが皇国と王国の思惑の読み合い。
……思惑の前に、まずは世界情勢を説明してほしいんですが。どれだけの国がどこにあって、どこが強くてどこが豊かでとか、そういうのが見えてくる前に、一部の国の腹の探り合いを読まされても、これまた頭に「?」マークが浮かぶばかり。
何の説明もないまま戦乱の世に放り込まれた迷子になった気分だった。サブタイトルに1とあるけど、続きものだったのか?と途中で調べてしまったくらい。
この話を人に読ませようと思うのならば、最低限冒頭に地図と人物紹介は必要不可欠。文章の方も、パッと見で見分けれれるような名前の付け方など、ほんのちょっとの気遣いで全然印象は違っていただろう。本に使う単語じゃない気がするが、ユーザビリティが大きく欠如した作品だった。