いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「かくりよの宿飯 十 あやかしお宿に帰りましょう。」友麻碧(富士見L文庫)

手作りのお弁当と引き換えに、伏せられてきた大旦那の真意へ触れた葵。自ら捕われた大旦那を進むため、葵は天神屋の仲間たちとともに決戦の地・妖都へ向かう。
ついに始まる八葉夜行会。雷獣の陰謀はめぐり、大旦那を“隠世”の底へ封印する提案がなされた。採決を覆す協力者を探して妖都中を駆け回る仲間たち。そして葵は、かつて自分の料理を否定した大湖串製菓の八葉・ザクロの助力を得ようと、お菓子作り勝負に挑む!
もう一度、大旦那に“始まりのお弁当”を届けるため、そして葵自身の気持ちを伝えるために。


大旦那様を救出して大団円へ。感動の最終回。
ここに来るまでに丁寧に伏線が張られてきているので、予定された道を一歩一歩着実に歩んでいった印象。サプライズが全然ないのでやや物足りなさを感じるけれど、伏線が綺麗に回収されていく様は気持ちいい。それに捕われのヒロインを助け、諸悪の根源を退治しと、王道中の王道の物語を全力でやり切ってくれたので、それだけで満足感がある。まあ、ヒーローとヒロインの性別が逆なんだけどw
葵は最後の最後までカッコいいタイプの主人公だったなあ、女の子なのに。ほとんどが自分より強いあやかしに囲まれながら、ここぞでは「俺についてこい」タイプの男らしさを発揮する頼れる姉御のイメージ。
心残りは、このシリーズの大事な要素の一つである飯テロが、最終巻でお菓子に偏っていたことかな。葵が作る九州しょうゆを使った和食が好きだった。
後日談の予定があるようなので、飯テロはそれに期待と言うことで。
それに大旦那様と葵のイチャイチャシーンも読みたい。初めは反発していて後半は別行動、あまり一緒に居ることのない二人だったので。