いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「さよならの言い方なんて知らない。2」河野裕(新潮文庫nex)

架見崎。誰も知らない街。高校二年生の香屋歩と幼馴染の秋穂栞が訪れたその場所には、戦争があった。人と人が対立し、殺し合い、奪い合う。そんな世界で、二人はかつての親友トーマと再会する。架見崎で二年余りを過ごした彼女は、最大の領土を誇るチームの「伝説」となっていた……。食い違う現実。開かれる戦端。謎の核心「ゼロ番目のイドラ」。死と涙と隣り合わせの青春劇、第2弾。


「ウォーター&ビスケットのテーマ」の新潮文庫nex移植版、2巻目。
スニーカー文庫版を隣に置いてところどころ同時に開いて比べてみたが、小さな表現の違いしか見つけられなかった。全部が全部比べたわけではないので確かなことは言えないが、大きな改正はなさそう。

改めて読んでも香屋が本当に気持ち悪い。
神様視点で物事が見えていて、すべては彼の掌の上なのに、それでいて本人はビビっている。月生さんの香屋評「怪物」「異常性に無自覚」は頷かずにはいられない。
後はミケ帝国と平和の国の対比。
強くてカリスマ性のある白猫に人が集まった、分かりやすく健全な成り立ちのミケ帝国に比べて、何の力があるのかリリィを頭に据える平和の国の歪さが際立つ。
表面上は大きな戦いで派手な回のようでいて、裏では違和感を重ねていった2巻だったんだな、と。
おさらいは終わった。1月予定の3巻が楽しみ。