いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「三角の距離は限りないゼロ4」岬鷺宮(電撃文庫)

一人の中にいる二人の少女、「秋玻」と「春珂」。二重人格の彼女たちと触れ合ううち、僕らの中で始まった恋は――ある日、唐突に終わりを迎える。
そして……。
――そして彼は、変わってしまった。
だから、わたしは、わたしたちは動き出す。出会った頃の「彼」をもう一度、取り戻すために。すれ違いの修学旅行のなかで、わたしたちは彼を、矢野くんを、わたしたちの想い人を、追いかける。
そう……たとえ、わたしたちがもう、恋人ではないとしても。
わたしとわたしと彼が紡ぐ、切なく愛しい、三角関係恋物語


後輩に自分を否定されたショックと秋玻に振られたショックで、矢野くんが鬱に。
これはさすがに専門の病院に連れて行った方が……と、マジレスすると物語にならなくなってしまうので控えるとして、

主人公がほぼ茫然自失状態、ヒロインズは責任を感じてあたふた、周りは腫れ物に触れる様な状態で修学旅行へ。
学園ラブコメ/ラブストーリー好きとして、これまでいくつもの修学旅行イベントを読んできたが、これが最も精神的にきつくて読むのがしんどい修学旅行だった。黒歴史を抉る残念系ラブコメの修学旅行なんて序の口。痛くても笑えるもの。
なんとか矢野の反応を引き出そうと必死の秋玻と春珂。不自然に矢野に絡まない伊津佳。どうしていいか分からな(くて影の薄)い修司。Omochi、古賀の振り回すタイプの女子二人で、ギリギリ修学旅行らしいテンションを保っているグループ。誰も彼もが無理をしているようにしか感じなくて、痛々しくて読むのが辛い。おまけにその余波で細野・柊ペアが離れ離れにされちゃうし。
秋玻の頑張りで矢野が復活の兆しを見せたので、読後感は前巻ほど悪くないが、味わいたい切なさはこういうのじゃないんだけどなあ。
次の5巻から後編で、秋玻と春珂の過去の話になるらしい。・・・あれ? そうなるとエピローグ前のやり取りが嫌なフラグになってないか? そもそも矢野はあんな状態で彼女たちを支えられるのか? 辛い未来ばかりが思い浮かぶが、今後の展開から目が離せない。