いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「狼と香辛料 XXII Spring Log V」支倉凍砂(電撃文庫)

湯屋をセリムたちに任せ、再び旅に出た元行商人ロレンスと賢狼ホロ。道中、小銭両替のため訪れたヴァラン司教領で、懐かしき人物――エルサとの再会が二人を待っていた。
司祭となったエルサは、教会の財産整理のため司教領に赴いたという。そして両替の見返りとして、一度踏み入れば生きては帰れない、呪われた山の調査をロレンスに頼む。そこには“錬金術師と堕天使”の秘密が隠されていて――!?
さらに、借金地獄に陥った町をロレンスが商人の勘で救う、経済ファンタジーの面白さが詰まった中編に加え、ホロたちの娘ミューリと、聖職者志望の青年コルの結婚式(!?)の書きおろし中編を収録。
幸せであり続ける物語、第5弾!

その後を描いたSpring Logも早いものでもう5冊目。
久しぶりのロレンスとホロの旅の続きの中編が二編と、『羊皮紙』の中編が一編の計三編。


狼とどんぐりのパン
内容:旅先のヴァラン司教領でエルサと再会。彼女の抱える問題を解決する。

旧友との再会、珍しく狼の姿の方が長いホロ、栗鼠の化身に懐かれるなど濃い内容だったのだけど、それを差し置いて目を引くのが、クースラとフェネシスの(『マグダラで眠れ』)の足跡。
色々とやらかした跡が見える、伝聞や絵画の伝説に苦笑い。二人のニヒルな笑みと困った顔が思い浮かぶ。それと、同じ世界観で前の時代なのは匂わせていた記憶があるけれど、5~60年前という明確な数字が出てきたのには驚いた。
最後に一つ、声を大にして言いたい。
「猫に弱いのは天使じゃなくてお前だろ!」



狼と尻尾の輪舞
内容:エルサと連れ立って大市へ。

1話目が二重三重の意味で懐かしい話だったのに対し、こちらは商人らしい話。
経済においてお金は血流、滞ったら健康を害する。ということがよくわかる。あとはホウレンソウの大切さ。
ロレンスが活躍するのは珍しくないのけど、結論が見えた上で、途中慌てることなく的確に動いているのは珍しいような(失礼
ホロの涙は意外だった。結婚生活長いし、その辺はもう割り切れているものだと。
いつもべったりなロレンスとホロに対する、エルサの呆れ8割羨ましさ2割の夫婦評が面白い。



狼たちの結婚式
内容:町で出会った貴族の結婚式に立ち会うコルとミューリ

ミューリは出さないと抜けないのか、便利だな。(毛
前の話に続いて日々のコミュニケーションとホウレンソウの大切さを噛み締める話。
この話は出てくる人たちがみんないい人たちなので、笑い話でいい話になっているが、彼らの疑心暗鬼どおりに悪意が入っていたらと思うと……。
麺すくいを櫛にするつもりなの!? 痛そう。