いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「居酒屋がーる2」おかざき登(LINE文庫)

居酒屋『竜の泉』で嘉穂たち3人がお酒をのんでいると、なにやら嘉穂とわけありっぽい女性、姫宮やよいが男性とともに入店してくる。美月と貴美は「もしかして男性を巡っての!きゃー!」と盛り上がるが……。酒は人と人との距離を近くし、居酒屋という空間は予想外の出会いをもたらす。嘉穂は長年打ち解けてなかった同業者の姫宮やよいとの距離が近づき、貴美は杜氏の青年の酒造を訪ね、美月はおでん屋のおばあさんと知り合う。今日も街の居酒屋では、誰かがお酒と出会い、人と触れあっている。


2巻も酒飲みの舌と胃袋を刺激する、大変けしからん罪深い一冊に仕上がっていた。
行きつけの居酒屋『竜の泉』の明るくアットホームな雰囲気に、居酒屋以外ではあまり会わない呑み友達の気心の知れた会話。そこに嘉穂さんの作家仲間との渋い店でのさし呑みも加わって、都会ならではのお酒の楽しみ方が心底羨ましい(田舎者並感
そして、今回も出てくる出てくる旨そうな肴たち。
最もそそられたのは金華鯖の燻製。すでに字面だけで罪深い。鯖の油と燻製の香り……絶対あかんやつや。あとは白子の天ぷら。こちらはエピソードを含めてよかった。
また、2巻目にして早くも定番になっている〇〇に何を合わせるか談義(または戦争とも言う)の、読み手も参加できる楽しさが良い。
大根おろしはしょっぱい系なら何にでも合うから悩む。アジフライは醤油+からしの嘉穂さんに一票かな。醤油はなくてもいい。すまん貴美ちゃん、ケチャップはないわ。酸味は有りでも甘みが許せない。
あと気になったのはお酒や食べ物の地域性の話題。おでんの地域性の話もあったけど(静岡の黒はんぺんも話題に出ていた)、それよりカルチャーショックだったのが「板わさ」。かまぼこをわさび醤油で食べる……だと!? かまぼこ+わさび漬けが板わさだと信じて疑わなかった静岡人がここに。そういえばわさび漬けって何処にでもあるものじゃないのか。
そんなこんなで、2巻も美味しく楽しいひと時でした。御馳走さま。