いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「プロペラオペラ2」犬村小六(ガガガ文庫)

極東の島国・日之雄。その皇家第一王女・銀髪の美少女イザヤは18才。同い年で幼なじみのクロトは、10才の時にイザヤにとんでもない“狼藉”をはたらき皇籍剥奪されたいわくつき。しかしふたりは今、タッグを組んで飛行戦艦「飛廉」を駆る国民的人気の艦隊司令官&超切れ者天才参謀である! 互いを意識しているくせに素直になれないふたり。イザヤと人気を二分する巨乳「飛廉」艦長リオ。何も起こらないはずがない南の島のビーチでの休日……の後は、敵国リングランド艦隊との決戦だ!! 犬村小六の「恋と空戦のファンタジー」堂々第二幕!!


1巻にも増して趣味の本。いいですね。
1巻はキャラクターの描写が濃い印象だったが、キャラクターの為人と立ち位置の説明が終わっている2巻は、このシリーズのキモである飛行戦艦の説明ががっつり。設計思想からとんでも装備まで事細かに描写されていて、的確にメカ好きな男の子心をくすぐってくる。モチーフである太平洋戦争当時の科学力と空想科学のバランス感覚も絶妙で、そこで膨らんだ想像が後の空戦を一段階熱いものにしてくれる。
もう一つ、空戦をドラマチックにしているのが前半のコメディパート。
平時はアイドルとファンたちが学生のノリでバカやっているような笑いと和みのやり取りが、いざ戦いになるとそれが船員たちの戦うモチベーションになり、イザヤたち指揮官の精神的な枷になる。
そこに日之雄軍上層部の無能さと彼らが作り出す絶望的な状況、敵国ガメリアの圧倒的軍事力と日之雄の1ランク上の空想科学とんでも装備、クロトの予知めいた演算能力とイザヤの異能が加わって、東南アジアでの海上決戦は様々な感情が渦巻いて最高潮の盛り上がりだった。
今回も面白かったし、ラストが幸せで読後感も最高。ここが束の間にして最後の幸せな空間になりそうな予感がしないでもないけれど。
さて、次回は
まずは新飛行戦艦「村雨」の能力に注目(毎回死地に赴いてぶっ壊してくるのは、事情や情勢を理由にして新しい戦艦を出したいからでは?)。また、新キャラのスパイ・ユーリの動向も気になるところ。彼女、いい性格で楽しいキャラクターだけど、カイルに太刀打ちできる図は想像できない、というか裏切りそう。そしてイザヤとクロトはまだ一緒に居られるのか?等々気になることがいっぱいで次巻が楽しみ。