いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ラストオーダー1 ひとりぼっちの百年戦争」浜松春日(講談社ラノベ文庫)

終末後の世界。機械兵士リアは、最後の命令――ラストオーダーに従い、終わることのない戦争を百年以上も続けていた。そんなリアの前に、終末後も生き残っていた人々が暮らす住処を追われた兄妹、ノーリィとミクリが現れる。規則上子どもを見捨てられないリアは、二人を保護することに。機械人形を警戒する兄妹だったが、身を挺してでも二人を守ろうとするリアに次第に心を開いていく。意を決して、もう戦争は終わっていて戦う必要がないことを告げるが、命令に従うリアは戦いをやめることを拒み――!
NOVEL DAYSにて開催されたリデビュー小説賞受賞作が登場!


戦争で滅んだ近未来の日本の大都市を舞台としたポストアポカリプスで、妹が疫病に罹り村を追い出され決死の冒険を余儀なくされた兄妹と、100年前の戦争時の命令を守り続ける軍用ヒューマノイドの運命が交差する物語。

面白かった。終い50頁くらいは(370頁中)
滅びた文明、アンドロイドの生き残り、少年の冒険譚と、ワクワクする要素テンコ盛りなのだが、如何せん前置きが長い。説明が多くてテンポが悪い。ここまで逐一説明しなくても、もう少し読み手の想像力に委ねていいと思うのだけど。メインのキャラクターたちが出会うまでに230ページ使うのは流石に冗長だろう。
外に出て水を得た魚のように躍動する少年・ノーリィの本来の姿が見えて、助けてくれたヒューマノイド・リアへの憧れと淡い恋心などのキャラクターの心の動きは出始め、やっと冒険譚らしくなったところで次回へ。楽しい時は短く感じるとは言うが、少年の活躍の場が短すぎませんか。楽しくなるまであんなに長かったのに……。
そんなわけで、この本単体では「楽しい」より「退屈」の割合がかなり多い。
それでもタイトルに1とあるので長編を見込んでいるようだし、出版側も既にコミカライズが決定しているぐらい力を入れているみたいなので、今後の展開に期待ということで。世界観やキャラクターの状況の説明をみっちりきっちりやってるので、次からはテンポが良くなる、はず。


表紙、挿絵のリアの右目が青かったり赤かったりするのは何かの伏線か。作中は赤としか表現されていないが。