いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「青雲を駆ける 6」肥前文俊(ヒーロー文庫)

タニアが妊娠したことがわかって、大喜びのエイジ。 だが、文明レベルの低い異世界では、出産はかなりの難題。 母子ともに健康に生まれる可能性は低いという。 そこで、エイジは現代日本の知識を総動員し、タニアに安全な出産をさせるために環境を整えるべく尽力する。 産院を清潔に建て直し、水道を引き、薬師に協力を要請。 さらには、弟子たちの試験も待っていた。 また、カタリーナとの約束の行方は?
鍛冶師の青年が異世界の村で大奮闘する第6弾!


タニアの出産に全力なエイジに、鍛冶では弟子たちの奮闘も描かれる第6巻。
劣悪な環境を少しでも良くしようとする必死な様子。鍛冶仕事に向ける真摯な姿勢。久しぶりにエイジらしさを読めた気がして良かった。
やっぱりエイジは村に居てこそだ。村で何かしてタニアの側にいる方が断然生き生きしている。根が真面目なので、外に出ても与えられた仕事はきっちりこなすけれど、どこかにやらされてる感や余所行きの顔が出ていた気がするので。
と、タニアの出産を1%でも安全にするために奔走していたエイジの頑張りに感化されていたので、出産のシーンはそこまで劇的にしなくてもと思わなくもないが。村に出産方法を受けいれてもらうためにも、普通にエイジの努力が実を結ぶ方向でよかった気がするのだが。何はともあれ、母子ともに無事でよかった。
あと今回驚いたのが、エイジが日本のことを積極的に話している点。
今まで再現できそうな技術以外はなるべく喋らないようにしてきた風だったのに。と思っていたら、このラストに繋がるわけか。なるほど。
次回、外洋へ? 外に出ても現代日本には帰れない気がするが……。揺れ動くエイジの決断が気になる。