いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「バンチョ高校クイズ研」蓮見恭子(集英社文庫)

杜の都仙台。東二番丁高校に赴任した熱血教師・慎太郎は、クイズ研の再興を決意。知識だけでなく様々な能力が試されるクイズの魅力を信じ、部員の勧誘を開始する。集まったのはクールな優等生、おっとりした巨漢、運動神経抜群のお調子者。秘密兵器は保健室登校の女子!? 謎の特訓と合宿を経て、一つのボタンにメンバーの思いが集結! 可笑しさの向こうに感動が見えてくる、書き下ろし青春小説。


かつては強豪だったが、今は廃部して久しい東二番丁高校クイズ研究会。そこに赴任してきたOBの教師がクイズ研を復活させる物語。

知識量だけでは勝てない、早押しクイズのテクニックの数々がどんどん出て来る“ガチ”でクイズ研究会な内容だった。もっとクイズそのものが出て来ると思っていたので、これは嬉しい誤算。知らない世界を知ることが出来るのは単純に楽しい。特に大会では、チーム戦ならではの戦法があったり、独特の緊張感も感じられて臨場感が味わえる。
それに問題を抱えた生徒たちが、喧嘩したり泣いたりしながら一つの目標に向かって頑張り始めるストーリーもベタながら良かった。
但し、若者たちの青春を感じる暇はほとんどない。主人公の教師のアクがあまりにも強すぎる所為で。
熱血教師と言えば聞こえはいいが、やり方が強引なのに上手くいかないと癇癪を起こすこれは、ただの我儘な子供だ。
特に物事がうまくいかない前半は、いい大人が方々に悪態ばかりをついていて、読んでいて全く楽しくない。むしろイライラする。実際何度か投げそうになった。同僚女性教師にデリカシーがないとか言ってるお前が断トツでデリカシーがないよ。
事が上手く運び出してからは悪態は影を潜めて読みやすくなるが、難ありで個性が強いはずの生徒たちのキャラクターが弱まってしまうくらいには最後まで我が強い。
テーマは興味あったし、ストーリーも良かった。でも、この主人公は無理。