いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「元スパイ、家政夫に転職する」秋原タク(角川スニーカー文庫)

世界を股にかける秘密組織《フルピース》――その諜報部に所属する野宮クロウはある日、解雇を言い渡される。最前線を退くことになった敏腕スパイが選んだ、次なる任務(ミッション)は……とあるご家庭の『家政夫』!? スパイ時代に培ったあらゆるスキルを駆使し、炊事洗濯にご近所トラブル、共に暮らす三姉妹の「お悩み相談」までも解決していくクロウ。しかし、切り離せぬスパイとしての過去――街の暗部が家族に牙を剥いたとき、
「さぁ、始めようか。お掃除の時間だ」
フルピース史上最強の《スパイ十指》、その“No.009”としての実力を発揮する!!
アットホーム×スパイエンターテイメント、ここに開幕!


ファ〇リーズwwwカッコイイwww
仕事ぶりは真面目なのにその美貌ゆえにトラブルを起こしてしまう、「※ただしイケメンに限る」を面白おかしくコメディに仕立てた作品。
ドタバタコメディなのは予想通りだけど、その中身というかタイプはかなり予想外。
家政夫の主人公が元海外のスパイということで常識がなくて引っ掻き回す、要するにS良S介みたいな主人公かと思ったら、意外にも家事もご近所付き合いもそつなくこなす常識人。鈍感主人公には違いないが、難聴系主人公ではなく無自覚最強主人公。その美貌ゆえにヒロインの方が恥ずかしがって強くアピールはしてこないので、ヒロインよりも本人が目立っている。少女漫画なら確実に背景に薔薇の絵があるねw
その分ラブの要素が薄くなっているのは良いのか悪いのか。ベタなラッキースケベイベントもイケメンがやるとラブコメ感がなくなって純コメディ化するんだなと、変なところで感心してしまった。
そんな非モテ男子の敵のような主人公でありながら、どこか抜けている天然な性格と、家族思いのいい奴なので憎めないのがズルい。くっ、心までイケメンかよ。
ヒロインを楽しむラブコメとして読むと物足りないが、男性主人公のキャラクターを楽しむコメディとして面白かった。