冬。彼女である菊池さんとすれ違ってしまった俺は、言葉を重ねてもう一度心の距離を近づけようとする。そのなかで、俺は自分の業とも呼ぶべきものに向き合うことになる。それは、今まで気付かなかった菊池さんの一面をも明らかにして――。弱キャラのままでは絶対に気付かなかったこと。気付けなかったこと。そして、俺にとっても菊池さんにとっても特別な、日南葵という存在。俺は初めての彼女と、この難問をクリアすることができるのだろうか。
人生のバイブル的青春小説、待望の第9巻!
ついに公式に強キャラ認定いただきました。だから初めからそう言っているのに。それがゲームであろうと一番になれる奴が弱キャラなはずがないって。
さて本題は、
友崎が彼女になった菊池さんとのすれ違いを機に、今までの自分を省みて、自分の気持ちとやりたいことを真剣に考える第9巻。
いや、省み過ぎだろう。どこまで自分を掘り下げれば気が済むんだ。
プロゲーマーへの道、菊池さんとの交際、友達付き合い、日南との関係。やりたいことはいっぱいあってどれか一つは選べない。でも、どれかを中途半端にしては不誠実。そんな答えのない自己問答を、言葉を変え相談相手を変え延々と繰り返していた。あまりに同じところをぐるぐる回っているので、ドリルになって自分と一緒に墓穴を掘り下げているのかと。
そんな思考のドツボにはまった友崎を救い出したのは、やっぱり天使だった。まさか、あそこから逆転するとは。最早後光が見える。
それでいて赤面ヒロインもこなしてしまう万能ぶり。なんでこの娘こんなに可愛いの?ずるくない? 「もう一回」の破壊力には撃沈するしかないでしょう。
というか菊池さんが勇気を出さなきゃ振る流れだっただろ、これ。友崎くんさあ、それでなくてもみみみを泣かせているんだから、菊池さんまで泣かせるのは許されざるよ。そのみみみは今回もまた損な役回りで泣けてくる。何でこんないい娘が負けヒロインなんだ。天使も意外と強キャラなので、本当に救いの手が必要なのはみみみかもしれない。
他にも言いたいお小言はいっぱいあるけど、大半は水沢先生が大体言ってくれたからいいにしよう。先生も達観や老成具合が大概だ。強くてニューゲームやってる感ある。
天使の鶴の一声で「こいつらホントに面倒くさい」を笑顔で言える、悩める若人は青春小説の醍醐味と思えるくらいに持ち直したかな、という感じ。あのまま別れてたら読むのを止めてたかも。ラノベのキャラクターは向上心があって誠実なキャラが好きだけど、意識が高すぎるのも真面目過ぎるのも考えものだなと思わせる話だった。
次回、ついにラスボスに切り込む?