いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #10」枯野瑛(角川スニーカー文庫)

浮遊大陸群を救う、最後の戦いが始まった。〈最後の獣〉の結界内に広がるのは、在りし日の地上を模した風景。散り散りになる妖精兵たち、ティアットの前にはエマと名乗る女性と、白いマントの少年が現れて――。


〈最後の獣〉の巣くう2番浮遊島に突入したティアットたち5人の妖精兵の眼前に広がったのは滅亡直前の地上を模した世界。場所も時間もバラバラに飛ばされた彼女たちに待ち受けるものとは? で始まる最終章前編。章のタイトルに全て(上)が付いている、まさに上巻という作りになっている。

コロン姉さんかっけえ!
新人のアルミタが決死の覚悟で戦う敵を肉弾戦でフルボッコとは。強くなったもんだ。同じく新人のユーディアと合流したティアットも頼もしい先輩をしているし、パニバルにも強者の貫禄を感じる。相変わらず行動は謎めいているけど。
ここにラキシュを加えた4人で新シリーズが始まった時には、あんなにわたわたしていて危なっかしかったのに。彼女たちの成長した姿に、ここまでの道のりの長さと(辛かった思い出ばかりだ)同時に、どこか誇らしさを感じる。
ところで、ラスボスこと〈最後の獣〉。
内に取り込んだ者の望む情景を作り出す獣(キャラクター紹介欄から抜粋)ということは、取り込まれた大賢者や地神たちが望む過去の光景が作り出されているはずなんだけど、、、それにしては中の世界が厳しい。人類は滅びに瀕していて、地上は抗争ばかり。彼らが生きてきた時代に、一時でも平和な時間なんてなかったということか。
この手の物語は、優しくて覚めない夢を破ってまで厳しい現実に帰る必要はあるのか?を問うのがスタンダードだと思うのだけど、夢ですら優しくない世界に本当に救いはあるのだろうか。最後まで厳しく切ない物語になりそうだ。
さて、泣いても笑っても泣いても泣いても次でラスト。
前巻でキーになるかと思われたヴィレムの武器は使えない子だったんだが、最後までこのままってことはないよね? フェオがどのタイミングで出て来るのかも気になるところ。