いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「隣のクーデレラを甘やかしたら、ウチの合鍵を渡すことになった3」雪仁(電撃文庫)

「じゃあユイはその旅行、行くの?」
「それは……その、まだ話せてなくて」
一人暮らしの高校生、片桐夏臣とイギリスから留学してきた隣室の少女、ユイは夏の花火大会デートを経て相手への恋心を自覚していた。だが、二人が大切な想いをどう扱うのか考える間もなく、訪れた福引で温泉旅行のペアチケットに当選してしまう。「行きたい」という気持ちはあるが、どう話して良いかわからない夏臣とユイ。それぞれの友人にも相談するのだが、気持ちはもう固まっていて――
「「……あのさ」」
居心地のよい関係を続けるのか、その先へ踏み出すのか。甘い日々を過ごしていた関係が、変化しようとしていた。


花火大会デートで自分の気持ちに気づいた二人が福引で当てた一泊温泉旅行に行くことに。やっとついにようやくタイトル回収するお隣さんピュアラブストーリー第3弾。
高校生カップルが伊豆って渋いな。派手なことを好まない二人らしい行き先ではあるが。高校生が選んでいく場所ではないし、二人の落ち着いた雰囲気なら若夫婦に間違われても仕方がない、、、かもしれない。
そんな嬉し恥ずかししっとりな温泉旅行に行くまでに進んだ恋の行方は、
両片思い状態を引っ張ることもなく、無理矢理急接近させるようなハプニングもなく、二人が自分たちのペースで恋を成就させていった。山も谷もない代わりに、それぞれの心の内の描写が丁寧に綴られていく。そこに二人の誠実さと相手を想う気持ちが乗っていて、とても良かった。あまりにも駆け引きなく直球勝負なので、読んでるこっちが赤面しそう。
素直で真面目で自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先させる優しい二人が、ゆっくりじっくり恋心を育んでいく物語。最近ではなかなかお目に掛かれないピュアさと丁寧な作りのラブストーリーでとても良かった。
終わりかと思ったら、コミカライズが始まり続刊の可能性があるようで。
吹っ切れた二人のイチャラブが読めたら嬉しい。学校での周りの反応や、今回は渡してすぐ終わってしまったのでユイの合鍵使用頻度も気になるところ。