いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者になれなかった三馬鹿トリオは、今日も男飯を拵える。3」くろぬか(Mノベルス)

スタンピードを先導し、クランと孤児院も設立したことで一気に規模が大きくなったパーティ「悪食」。北山、東、西田の3人はギルドからの依頼をこなしつつ、異世界の食材を美味しく調理して強くなっていく。
そんななか、3人を助けた「姫様」から「とある人を保護してほしい」と依頼が来た。実はこの人物が「この世界の秘密」に繋がっていて――!?
読んで美味しい異世界グルメ第3巻!


孤児院始めました。な第3巻。
破天荒な振る舞いの中に確かな正義感があり、なにより底抜けにお人好しな三馬鹿らしいチョイスだ
そこで見えたのは、不器用ながらに子供を諭す父親の姿と子供を導く教師の姿。
孤児院の子供たちには大いに慕われ、保護した魔人の子供には生きる希望を与え、護衛の仕事で出会った貴族の子女たちには年上らしいアドバイスをと、なかなかいいパパ&先生っぷり。異世界転移ものでは現代知識で利益を出す主人公ばかりの中で、いい大人が大人のまま転移したことを生かした作品は珍しいし、好感が持てる。
そしてその矛先は天狗になった勘違い勇者にも。
無自覚とはいえ何人も殺した糞野郎にも慈悲をかけ諭す北山の人の良さには、苦笑するやら感心するやら。その過程で大怪我したおかげで、仲間たちの勇者に対する殺意がもの凄かったけど。こちらは勇者にお灸を据える意味より、北山のリーダーとしての器を感じる方に重きを置いたエピソードだったかな。
さて、お楽しみの男飯の方は、、、
今回は何故か熱い軟骨押し。いや、間違いなく旨いけどさ。それ以外もがっつり飯よりも酒の肴になる料理の方が描写が濃くて、お腹が空くよりも酒が欲しくなるラインナップだった。
ところで支部長、ついに悪魔(悪食)に魂を売ってしまったのですね。満面の笑みを浮かべやがって(274頁)。あんたにはがっかりだよ!