いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「幼なじみが絶対に負けないラブコメ10」二丸修一(電撃文庫)

ついに白草からも告白をされてしまった……! 黒羽と白草、俺は一体どうすれば──なんて悩んでいたホワイトデーも過ぎ、季節は四月。初々しい新入生たちが入学し、俺も群青同盟も抜群の知名度で注目されまくり! 新入生に囲まれるってのも悪くないな、と思っていたら、群青同盟への入部希望者が二百人超え!? どーすんだよこれ……。
入部希望者へ試練を課すために、次期部長の真理愛が出した一次試験は面接、なんだけど、ただの面接ではないうえに、面接の前から試験は始まっていて──。
黒羽の妹の碧と、末晴の弟分!?的な存在の間島陸が入部試験をかき回し、さらに白熱するヒロインレース第10巻!


新学期。新学年になった感慨に耽る間もなく、大量の入部希望者の対応に奔走する群青同盟のメンバーの様子を描く第10巻。
なんだこの綺麗な「おさまけ」は……。
最終面接まで残った新入生たちへの熱い指導。新入生たちに見せる先輩としての演技。三年生になって現実味を帯びてきた進路の問題。……なんて健全な部活動、まるで真っ当な青春ラブコメのようだ。
いやいや、違うでしょ。
演劇に対してだけは真剣なのは前からで良いところではあるけれど、このシリーズの楽しさはそこじゃない。
哲彦やクロ、モモのあくどい策略から迸る毒気や、末晴やヒロインたちのやらかし、そして何よりヒロインたちの空回りを楽しむのが醍醐味でしょう。こんなに部活に演劇にガチで真面目に取り組まれたらどう反応していいのか分からない。
序盤は告白して吹っ切れたことで攻勢に出た白草の勢いに喜んでいたのに、真面目に部活動モードに入ってしまって有耶無耶にされてしまうし。白草のターン短すぎだって(´;ω;`)ブワッ
演劇を題材にした青春ラブコメとしては間違いのない出来だった。しかし「おさまけ」としては非常に味気ない。そんな巻。