いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「安達としまむら11」入間人間(電撃文庫)

安達としまむら、二十二歳。私は今、真っ赤になった安達の右足を掴んで眺めていた。次はどこにキスするのがいいかな。
なんでこんなことになってるんだっけ。夏の暑さで常識が脱水症状を起こしてるのかもしれない。……あ、旅行の計画を立てるはずだったんだ。
「ところで、安達は旅行楽しみ?」
「ほほふぇ? りょほー?」
小学生、中学生、高校生。夏は毎年違う顔を見せる。こうして同じ人と、同じ時間を、二人で過ごしていたとしても。
そんな、夏を巡る二人のお話。


8歳、15歳、18歳、22歳。各年代のしまむらの夏休みの日常を切り取った、しまむらの成長を追う11巻。
しまむら(8)ちゃんは、ちょっと不思議ちゃんが入った強めのボケと独特なこだわり持つエキセントリックガール。あの母にしてこの子有りと言ったところ。樽見ちゃん(8)にすでにそっちのけが出ているのが末恐ろしい。この頃から魔性の女(女子限定)だったんだな、と。
しまむら(15)ちゃんは、一転して反抗期真っ只中のナイフみたいな尖った少女。他人に合わせることが苦手そうだから、団体競技は合わなかったんだろう。それと、この時期特有の潔癖さからすると、あのちゃらんぽらんな母には反発したくなる気持ちはとてもよくわかる。そっち系の大学生のお姉さんを引き寄せてしまう魔性力は尖っていても健在。
しまむら(18)ちゃんとしまむら(22)さんは、色々な物事に対して受け入れと諦めが半々くらいのスタンスで、本編しまむらと大きくは変わらない。まあこの歳になって大きく性格や人格が変わることはないか。懐が深いのか何も考えていないのか、よくわからない辺りが母に似ている。……全ての元凶は、良くも悪くも悪くも悪くもいい加減なあの母な気がしてきたw
安達を受け入れつつも戸惑いを強く感じる(18)から、現状に楽しみを見つけているのと、安達の存在が大きくなっている(22)の差に、4年間の積み重ねが感じられるのが良いところ。しかし、安達(22)はあれで落ち着いた方なのか……。
ところで15歳、22歳のエピソードで出てきた先輩は同時発売の『私の初恋相手がキスしてた』の金髪さんなのかな? 読んでないから知らんけど。
次回、最終巻だそうで。……前にもそんなこと言ってなかった?