いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「豚のレバーは加熱しろ(7回目)」逆井卓馬(電撃文庫)

「どうか……私を殺してください」
おいセレス、どうしてそんなことを!? おかしくなった世界を元に戻すためには、セレスが死ななきゃいけないだって? 絶対に認めない。俺とジェスで、セレスが死なずに済む方法を探すんだ!
王朝軍から追われる身となったセレスとの、危険だらけの逃避行。知恵を絞って追っ手をかわしながら、俺たちは伝説を頼りに「西の荒野」を目指す。
「よし、まずはジェスがお姉さんになるんだ。セレスのお姉さんにな」
「えええ? なぜでしょう……」
美少女2人に挟まれたハムサンドな旅に、意外な助っ人が現れる。その者の真意とは。そして脅かされるセレスの一途な恋の行方は――ハッピーエンドにならなかったら、この俺が絶対に許さない!


おかしくなった世界を元に戻すカギはセレスに打ち込まれた楔? バッドエンドを回避すべく豚とジェスが、王朝から追われる身となったセレスを匿いながら逃避行をする第7巻。こいつらいっつも逃げてんな。
ジェスたそのヤンデレ化が止まりません。
以前から一緒に居たい一心で異世界から霊魂を呼び寄せちゃうくらい愛の重い子ではあったけども、ついにはこれまで散々一緒に居るセレスにちょっと懸想しただけで、怒気を飛ばすまでになってしまった。アニメや漫画なら表情と目の光が消えてる顏になっているのが容易に想像できる。まあでも、ヤキモチに次ぐヤキモチが可愛かったからよし!
そんなラブコメ界の住人になりつつあるジェスは置いておいて、今回の主役はセレス。
自己肯定感が極めて低い女の子が過度に自己犠牲に走る姿に心を痛めつつ、豚とジェスの懸命な励ましと思わぬ出会いで、何とか持ち直していく姿にホッとするいい話。特に珍しく確かなハッピーエンドだったのが良かった。
豚とジェスだと決定的な結論ははぐらかして終わってしまうので(結論が出たら物語が終わるので当然だが)、想い人ノットの言葉にセレスの心が救われるラストにグッとくる。朴念仁イケメン、やればできるじゃないか。
と、セレス目線で見ると大事な話だったのだけど、シリーズとして見ると、結局また王朝軍対解放軍の図式になっているし、豚とジェスはまた逃避行で似たようなところ回っているし、豚の現世の問題も再発だしで、焼き増し感が強い。
もうそろそろゴールを定めて、そこに向かって進み始めてもいいと思うんだ。