いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「転生王女と天才令嬢の魔法革命6」鴉ぴえろ(富士見ファンタジア文庫)

“ヴァンパイア”。婚約破棄騒動のすべての元凶にして、パレッティア王国の敵。その脅威がもう眼前に迫っていることを知ったアニスとユフィたちは、対策を急いでいた。そこに、東部から「ヴァンパイアを捕まえた」という急報が入る。駆け付けたアニスたちの前に、永遠を求めるヴァンパイアの長が出現し!?
「私はライラナ。世界の全てを私が取り込むことで、永遠の平和を築くのよ!」
「お前の言う幸福は、ただのエゴの押し付けだ!」
竜を宿すもの(アニスフィア)&精霊契約者(ユフィリア)VS最強の吸血鬼(ライラナ)。人として生きる上での”幸福”とは何なのかを問う最終決戦が、今始まる! 
王宮百合ファンタジー、未来を繋ぐ感動のクライマックス!


ヴァンパイア急襲!な第6巻。
これまで平和に百合百合していた第二部が中ボス戦後即ラスボスな熱い!けどきつい!な急展開に。緩急激しいな。
襲ってくるのは過去最強にして最凶のヴァンパイアの異端児・ライラナ。対するはどんなに蔑まれようと我が道をひた走ってきた人間の国の異端児アニスフィア。似ている部分をいくつも持ちながら、パレッティア王国とヴァンパイアの因縁と、目指すべき未来や幸せの形が相容れないために激突する二人の戦いが描かれる。
バトルしているはずなのに、討論しているような圧倒的台詞量だった。相手を否定するよりも、自分の信念と理想を語ることに重きを置いた激しい言葉の応酬が、清々しく胸を熱くする。これは小説だからこそ熱くなれるバトルシーンだ。アニメでやったら動きが間延びして、漫画でやったら文字だらけになりそうだもの。
第一部と違い家族愛は絡んでこないので涙腺にくる感じではないけれど、今回もまた激しい感情と感情のぶつかり合いで読み応え十分、ここ2巻なかった熱量を感じられて満足。ライラナの甘く優しい永遠を否定しながら、自分と想い人は存在が永遠になっていることには、嬉しい反面複雑な気分になるけれど。
あらすじではクライマックスになっているけど、あとがきだと続きそうな感じ。イリアがどうするかの答えが出ていないまま終わったりしませんよね?