いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「七つの魔剣が支配する XII」宇野朴人(電撃文庫)

つかの間の長期旅行を終え、四年生に進級したオリバーたち。哲人デメトリオの「失踪」に学園内の動揺がいまだ収まらないなか、穴埋めとして曲者ぞろいの新任教師たちが着任する。なかでもロッド=ファーカーは両極往来者であり〈大賢者〉と称される魔法使い。彼が巻き起こす新風はかつてない波乱を予感させ、仲間の身を案じるオリバーは胸の奥で警戒を強める。一方、ピートやガイは、友と並び立つためにさらなる絆や力を求め葛藤する。
しかし、「魔法使いの地獄」は彼らに立ち止まる余裕など与えてはくれない。
今年もまた一人、迷宮の奥で生徒が魔に呑まれてしまい――


四年生へ進級した新学期。上級生になった剣花団のメンバーに待ち受けるものとは?な12巻。
オリバー、ピート、そしてガイ。男性陣に変化と決断が迫られる話だった。悩み焦る彼らだが、そんな素直に悩みに集中させてくれるわけがないのがキンバリー。またまたまた迷宮で大異変が……
そんなわけで、ついにきたガイのターン。
カティほど弱くなく、ピートほど不安定でもなく、オリバーやシェラほど抱えているものが大きくない。精神的にも安定していてずっとみんなのフォロー役だったガイが、初めて自分のことで悩み苦しむ。
しかしガイはそれでも男前だった。知ってたけど。ピートはともかくオリバーは割と女々しいからねw
自分がどんなに窮地で後先が苦しく暗くても、変わらぬ漢気と情の熱さと頼れる兄貴な面を見せてくれる。カティが寄りかかる先に選んで、下級生に情熱的に慕われて、敵と言っていい間柄のツンツン同級生をデレさせるのも納得だ。
但し、美味しいところは新任の教師に持っていかれるラストは、主役には成り切れないガイらしさが出ていて苦笑いしてしまうのだけど。
次はその新任教師が話の中心で、そろそろオリバーの番かな? 今回のオリバーは珍しくオロオロしてばかりだったから、次は彼らしいリーダーシップとギリギリの戦いを期待したい。