いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか19」大森藤ノ(GA文庫)

「学区が帰ってきたぞぉぉぉ!!」
美神の派閥との戦争遊戯が終結し、慌ただしく後始末に追われる迷宮都市に、その『船』は帰港した。
『学区』。ギルドが支援する、移動型の超巨大教育機関
ひょんなことから学区に潜入することとなったベルだったが、ある人物と似たハーフ・エルフの少女と出会う。
「私、ニイナ・チュールっていうの。よろしくね、ラピ君!」
様々な出会い、『騎士』との邂逅、そして学園生活。新章とともに新たな冒険が幕を開ける迷宮譚十九弾!
これは、少年が歩み、女神が記す、
――【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】――


三年ぶりにオラリオに帰港した船『学区』。世界を旅する巨大教育機関を舞台にした『学区編』スタート。
主人公が実力を隠して学園に潜入するラノベでは定番のシチュエーションながら、凄い勢いで強くなっていても出て来るキャラの中では弱い方なのが当たり前のベルが、強者として導く立場として存在しているのが新鮮で、シリーズ19巻にしてまた新しい『ダンまち』を見せてくれている。
それでいてシリーズの根幹『ベルの成長譚』だということも忘れていない。
素性を隠しての生徒たちとの交流なので、その全てを伝えられないもどかしさはあるけれど、これまでベルがオラリオでダンジョンで培ってきた経験を生徒たちに伝え、それが生徒たちの糧や道標になっていく様子に、逞しく育ったベルの成長を感じる。こういう“成長”の感じ方があるんだな。
あと、忘れちゃいけないのがスピンオフ作品『ソード・オラトリア13』で先行予告されていた新ヒロイン「ニイナ」ちゃん。
新たにベル君の毒牙に掛かってしまったのは、まさかのエイナさんの妹。ハーフエルフ姉妹丼とは……流石は今代の英雄、業が深い。というか、またエルフなのね。ベル君て女神特攻とエルフ特攻の《スキル》持ってるよね? 確実に。
目標がなくて悩んでいて、おまけにトラブル続きで弱っているところに、寄り添ってくれて言葉もくれて、トドメに格好良く命を助けられたらそりゃあ堕ちますわ。ベル君ズルいわー、すけこましだわー。
と、本題の方も十分面白かったのだけど、今回それ以上に面白かったのが序盤の戦争遊戯の後片付け的エピソード。
フレイヤ・ファミリアのメンバーが酒場で給仕してたり、ヘスティア・ファミリアに改宗することになったリューがポンコツヒロインぶりを遺憾なく発揮してたり。リューさん、ついにその輪の中に組み込まれてしまったんだね(涙)
話としては割と綺麗に終わっているけど、学区編はもう一巻続くようで。
無垢な学生のニイナちゃんがどうなってしまうのか。エイナさんの心労はいったい何倍になってしまうのか。そしてどんな試練が待ち構えているのか。次回も楽しみ。