いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「継母の連れ子が元カノだった11 どうせあなたはわからない」紙城境介(角川スニーカー文庫)

継母の連れ子が元カノだった11 どうせあなたはわからない (角川スニーカー文庫)

二年生になってすぐのこと。「好きです。付き合ってください」水斗に告白してきた相手は、まさかの明日葉院蘭だった!
生徒会役員にして、この学校で一番の男嫌いと言われる女子。そんな違和感だらけの告白が冷めやらぬまま、やってきたのは沖縄修学旅行!!
旅先でもやっぱりイチャつきたい結女と水斗は、夜のプールサイドで密会し――誰かにその様子を覗かれてしまい!?きょうだいで通しているふたりの関係が学校中にバレてしまう……その事態を防ぐには、旅行中に犯人を見つけ出すしかない! そして、蘭の告白の真意もこの事件に絡んでいて――?
平穏を取り戻すため、元サヤカップルは推理する!


前巻のラストを受けて明日葉院蘭にスポットが当たる、伊里戸兄妹の周りでいくつも事件が巻き起こる、ラブコメなのにミステリ調の沖縄修学旅行編。
ミステリ……ミステリねえ……
クラスの女子たちが結女の彼氏の存在を探りたいのは分かるし、修学旅行がスマホ禁止で意思疎通が大変なのも分かるのだけど、そこからどうして旅のしおりで暗号にして情報伝達しようという発想になるのか。どう頭を捻ってそこには繋がらない。修学旅行で四六時中一緒なんだからメモでも内緒話でもいいじゃない。
おかげで水斗の推理パートだけ初めに出来ていて、そこに無理矢理事件をくっつけたみたいな違和感大有りな作りになってしまっている。前提条件に必然性がないのでミステリとして成立してるとは思えない。
でも、ミステリ風味と割り切れば水斗の主人公らしい姿が見られたり、犯人Iさんの反応とかが面白かったり、最後に強キャラが爆誕したりするのでラブコメとしては有りかな。
ただ、カップルになってからの初めての旅行を、修学旅行中に隠れて二人きりになる背徳感等々を込みで、もっと純粋に楽しんで欲しかった、ストレートにラブコメして欲しかったというのが本音。
さて、前回右を向いても左を向いても恋バナしかしない生徒会メンバーに心を病んでしまった明日葉院さんは……
またヤンデレ百合かい! 結女本人もかなり重いから類が友を呼んでしまったのか、結女には“女性”を狂わせるフェロモンが出ているのか、南さんが開き直ってサポート役にジョブチェンジしてしまったから空いた枠を埋めたのか、なんにせよ水斗くんの苦労が偲ばれます。でもまあ、今回も事件がなかったら所構わずちゅっちゅしそうな勢いだったから、ストッパーは何重にも必要だよね。
次回は川波南ペアの話だそうで。他人のイチャイチャを見て二人は何を思うのか……楽しみだ。