いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「犬飼いちゃんと猫飼い先生3 たとえばこんなボクらの未来」竹岡葉月(富士見L文庫)

犬飼いちゃんと猫飼い先生3 たとえばこんなボクらの未来 (富士見L文庫)

僕、ダックスフントの"フンフン"。大好きな藍ちゃんもついに大学生……ってどうしたの藍ちゃん、なんか毛皮が爆発してるよ!!
イメチェンとやらを失敗して落ち込む藍ちゃんに、鴨井が美容師の妹、燿里を紹介してくれた。そこで藍ちゃんは、キャロルの死について鴨井家にわだかまりがあることを聞いちゃったみたい。自分のせいだと悩む藍ちゃん。気にしなくていいと強がる鴨井。もう! お互いを気遣うのはいいけど、ちゃんと言わなきゃ伝わらないよ!
あと一歩が踏み込めない、両片想いの恋の行方は--?


動物病院で出会った二人の恋模様を人間視点と動物視点で描く、変則群像劇第三弾。
藍が大学生になって気兼ねなく付き合える状況になった二人だが、その距離感は相変わらずな様子で……

フンフン、君は頑張った。
不甲斐ない人間二人のために一肌も二肌も脱ぐ奮闘ぶりは感謝の念に堪えない。本当にありがとう。1巻の頃はお調子者なのに臆病なおバカという残念犬だったのに、こんなにご主人想いの立派なワンコになって(涙)
あと、もう一人大活躍だったのが初登場の心晴の妹・燿里。お節介のいう名のスーパーアシストを何度もしていくファインプレー。フンフンと燿里が居なければ、いったいどうなっていた事か。
それに比べて心晴と藍ときたら。中二の汰久少年の方が精神年齢が大人ってどういうことなの? まだ子猫のプー子ですら気が使えて空気も読めるというのに。でもまあ、こんな生真面目で臆病な二人だから、応援したくなったりヤキモキさせられたり微笑ましくなったりするのだけど。
そんなわけで、ラブコメの醍醐味である付き合う前のじれったさは十二分に味わえた。
ただ、付き合い始めてからが薄いのが残念。
初デートの失敗談はあって、こういうのを積み重ねて仲を深めていくんだという、微笑ましくて明るい未来を思い描けるエピソードではあるけれど、ヤキモキ期間が長かった分それ相応の幸せ期間が欲しかったところ。
犬猫視点から人間たちの恋模様を追う、人も犬猫もで二倍カワイイシリーズ。面白かった。あとがきにゴールとあるから恐らく完結だろうけど、四話からエピローグまでの間で10年分くらいすっ飛ばしているから、そこを語ってくれてもいいのよ?