いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「フルメタル・パニック! Family」賀東招二(富士見ファンタジア)

フルメタル・パニック! Family (ファンタジア文庫)

「やはり武器が必要だ。クローゼットにあるから取ってこい」
世界の存亡を懸けた最終決戦から約20年後――相良宗介千鳥かなめと結婚し、平穏な日々を送っている……ハズだった。
「お父さん、いつものカービンとグレネードでいいのね?」「また隠し持ってたのね!? 毎回毎回、『武器などいらない』って言っといて!」「母さん、敵が来るから。文句はあとあと」
女子高生ながら父親譲りの戦闘力を誇る愛娘・夏美、小学生ながら凄腕ハッカーの顔を持つ息子・安斗――規格外な子どもたちまで加わった相良家の辞書に“平和”の文字は無く……!?
宗介ファミリーの刺激的な日常を描く、衝撃の新シリーズ!


本編完結から約二十年後。アラフォーになった宗介とかなめに、二人の子供の夏美と安斗の四人家族の日常を描くアクションコメディ。

お帰りなさい!
本編終了から12,3年久しぶりで当時の空気は出ているのか(おまけにどこぞの人気アニメみたいなタイトルで若干)不安だったのだけど、読んでみたら何の違和感もなくフルメタだった。(こちらは本物の家族だったw)
シリーズの刊行開始が1998年。当時高校生だった自分の青春時代と共にあったのがこの作品。完結時には少し歳が離れてしまったけれど、それがこうして同じように歳を取って同じアラフォーになった宗介の物語が読めるとは。それだけで胸がいっぱいにになってジーンとしてしまう。しかもあの人もあの人も、おまけにあの人も出てくるし、誰も彼もが懐かしくて同窓会のような一冊だった。
まずは宗介。
宗介がちゃんとお父さんしてる、しかも当時のことを思えばかなり常識的に父親しているのが嬉しいやら可笑しいやら。かなめの秘密の事があるのでドンパチは相変わらずだけど、その対処も常識的。宗介も成長したんだなって。当時のようにかなめの即時ツッコミが入らないのがちょっと寂しいが。個人的にこの巻のハイライトはおじさんになった宗介と林水先輩の再会のシーン。話している内容がありきたりなのがまた沁みる。
かなめも豪快さと繊細さ、強さと弱さが表裏一体なあの頃のまま。懐かしい。
そして流石のコミュ力。同窓会のようになったのは彼女のおかげなところが大きい。あと、宗介好きすぎるだろうw いい歳してイチャイチャしやがって。いいぞもっとやれ。
子供たちも忘れちゃいけない。
長女・夏美(なみ)は、読書好きな物静かな少女という表面上は二人の子とは思えない性格。と思ったら、口下手とオタク気質なところが宗介そっくり。それにやっぱり英才教育は施されているのね(苦笑)。第三話で明かされる、名前に込められた願いに泣かされる。
長男・安斗はいつもスマホ片手な現代っ子だが、冴えた頭と正義感の強さ、ちょっとやり過ぎてしまうおっちょこちょいな感じがかなめにそっくり。
2巻の予定もあるようで。
かなめが感じている瑞樹との間に出来てしまった溝は解消してくれないと気持ち悪いのでお願いします。最後にちらっとしか出てこなかったテッサの出番にも期待したいところ。