いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん8」燦々SUN(角川スニーカー文庫)

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん8 (角川スニーカー文庫)

戸惑いとトキメキが交錯した体育祭を経て、遂に自分の気持ちに気付いたアーリャさん。一方、政近は約束の誕生日会に向けて準備を進めるも慣れないプレゼントの購入に大苦戦!?
有希に茶化されながらも背中を押された政近は、誕生日会の当日パートナーに大切な言葉を伝えることを決心して――
「誕生日おめでとう。出会ってくれたことに、心から感謝する」【こちらこそ】互いに、出会えた奇跡に感謝し祝福し合うアーリャと政近。しかし、順調に絆を深め合う二人に不穏な影が忍び寄る。日常に溶け込んでいた危険因子が動き始めて……。
ロシアンJKとの青春ラブコメ、ドキドキなお誕生日会編!


体育祭の打ち上げや体育祭で起こった出来事のその後、最後はアーリャの誕生会。どちらかというと日常回。
政近は家を出た原因の母親を見てしまったがために、色々と表面に出てきた自身の傷と向き合うことに。アーリャはやっと自分の恋心を自覚して、政近との関係や過去を思い返して浮かんだり沈んだり。テンションは違えど、どちらも自分一人で自分の心と向き合う、シリアスながら大切な話だった。
一方、その間生徒会ではラッキースケベ満載の打ち上げ空振り編と、ハロウィンのオリジナルゲームではしゃぐ打ち上げ本番編で、乱痴気騒ぎハイテンションコメディが繰り広げられていた。エレナ先輩マジお疲れ様です。身体張り過ぎです。
ストーリーパートとコメディパート、それぞれ単体では面白く、どっちも楽しめるのはラブコメとして正しい姿だとは思うのだけど、その間の温度差が激しくて風邪ひきそうだ。
ストーリーの方がシリアスモードに入っているからバランスを取ろうと思ったのか、作者がシリアスに耐えかねてコメディパートではっちゃけちゃったのか。理由は分からないが、とにかくチグハグで一冊の本としての流れや調和がない。長く続いているシリーズなのだから、1巻くらい全体的に気分が沈み気味の巻があってもいいと思う。
あと、乃々亜さん。作者の都合よく動き過ぎで異物感が凄い。情がないのも愉快犯的なのもキャラクターとしてありではあるが、それなら彼女の行動理念やメリットを明示してくれないと。アーリャにあのセリフ聞かせる理由、別に彼女じゃなくても良かっただろう。
というわけで、悪くはないけれどまとまりのない巻だった。
次回、兄妹の秘密を明かされたアーリャさんの態度はどうなる!?