いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「リコリス・リコイル Recovery days」アサウラ(電撃文庫)

リコリス・リコイル Recovery days (電撃文庫)

「それじゃ喫茶リコリコ、出撃だ!」
リコリス――花の名前にして、日本の平和を守るエージェントの少女たち、だけど昼の顔は、喫茶店の看板娘!
喫茶リコリコを舞台に、TVアニメシリーズ『リコリス・リコイル』では描かれなかった錦木千束や井ノ上たきなたちのちょっぴりスリリングな非日常の物語。
二人に舞い込む依頼と迫る上映時間!? 常連客のピンチに漫画のモデルだってこなしちゃう! さらに人知れず街の平和を守るフキとサクラの日常だって!
そして、熱に浮かされたたきなが目覚めるとそこは殺人鬼が潜む森のロッジ!?
やっぱり一筋縄では終わらない慌ただしくも賑やかな日常を原案者自らが書き下ろす、新ノベルシリーズ第2弾!


リコリコ小説版、短編集第二弾!
お仕事ありプライベートあり夢オチありで今回も“バラエティパック”な内容。
それぞれ単独の話ながら、ちょっとずつ繋がっているのが特徴。第一話の小道具は第二話で手に入れたものだったり、第三話の看病後風邪をうつされるというベタなオチが第四話第五話に繋がっていたりと、かなり短期間の日常を切り取った地続きの物語になっている。

のっけから濃厚で香り立つコーヒー描写。アサウラ節全開のスタートにニンマリ。でもまさか、袋井名物「たまごふわふわ」まで出てくるとはw
それはそうと今回はがっつり「千束とたきな」な話で、他のコンビの話も一つあるけれど他のキャラのファンにはちょっと物足りないかも。たきな推しの私には何も問題ない、むしろありがとうございますと言いたいのだけど。
仕事でも日常でも真面目一辺倒なたきなが千束に感化されているシーンが多く、かわいいたきな成分がいっぱい。自分の成長に活かそうと千束の日常から何からクソ真面目に観察しすぎていて、たきなの面倒くささとある種の重たさが出ているところもあるが、それもまた良し。
お気に入りは第三話『Cough』(Cough=咳)
たきなさんの口は厳しいけれど、行動(食べ物)は優しい完璧な看病。こんなん千束じゃなくても惚れますわ! いい塩梅の百合感が出ているのも良き。それに、千束ご所望の買い物ついでに一人で散歩して街の景色や営みを見て楽しむ、心の余裕があるたきなの様子に確かな成長が感じられて愛おしい。
期待通りに面白かった、楽しかった。アニメ第二期に向けて気分を高めてくれる最高の短編集。第二期が今から本当に楽しみだ。