いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「創立!? 三ツ星生徒会4 そうして恋3は辿りつく」佐々原史緒(ファミ通文庫)

創立!? 三ツ星生徒会4 そうして恋3は辿りつく (ファミ通文庫)
創立!? 三ツ星生徒会4 そうして恋3は辿りつく (ファミ通文庫)

想い人「向坂水穂」は存在しないと知って絶望するまどか。そして自分(と水穂さま)を責める恵。でも落ち込む暇もなく、体育祭の準備では元ホシ高vs元ホシ女の調整に頭が痛いし、その後には恐怖の新生徒会選挙戦が(涙)。まどかが厳しいマニフェストで反感を買う一方、鳥越は出馬せず恵を推すと宣言! まどかも「私と戦え」って、もう逃げられない!? さらに突如、水穂さまの池に異変が!! ――生徒会と恋3の行方やいかに!? 多重三角関係ラブコメ大団円!!


前巻の終わりで予想されたとおりの“恵とまどか”な最終巻。
前半は恵とまどかの心の傷が見え隠れして暗く切ない雰囲気だが、水穂さまがトラブってから物語が一気に動く。
その中で生徒会の仕事でなくてもちゃんと恵の成長が感じられた。結局二人で行くとしても、水穂さまを助けるために一人で行動を起こすなんて1巻の頃の恵なら出来なかったはず。
そして二人の冒険はまさに青春といった内容だった。
最も印象的なのが恵とまどかの怒鳴り合い。たった2ページのやり取りだけど、恵の成長はもちろん、お互いがいかに相手を見ていたか、認めているかが分かるし、まどかにとっては親の前でも学校でも強い自分でなければならなかった彼女が、初めて本音でぶつかり合えたのが恵なんだと思うと感慨もひとしお。それに傍からだと痴話喧嘩にしか見えないからニヤニヤも出来る。
体育祭の内容や選挙の結果、二人の今度などまだまだ読みたいものが沢山あって物足りなさを感じつつも、どこかホッとするような、心から良かったと思える終わり方で満足もしている。
一人のヘタレ少年の成長譚、「いいもの読んだなぁ」と素直に思えるシリーズだった。



次回作と言わずに是非「暴風ガールズファイト」の続きを!