いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「聖剣の刀鍛冶15」三浦勇雄(MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J)
聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J)

王と、獣と、機械機構と、神とも呼ばれた“それ”――。過去、初代ハウスマンが実験台と呼び、いま、帝政列集国が魔王と呼ぶ、大陸の心臓“ヴァルバニル”が、遂に火山の頂に威容を表す。高濃度の霊体を吐く一撃で新たな“爪痕”を穿ち、触手で敵味方なく戦士たちを奈落に引きずり込む巨竜に為す術のないセシリーたち。一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦”をはじめようとしていた――。焔がすさび灼熱の炉と化す戦場の真ん中で、聖剣の騎士が真正面から立ち向かう!!壮大なファンタジー叙事最新巻、遂に決!着!


ついにきた最終巻。
これまで数多の絶望的状況を乗り越えてきたセシリーとルークとその仲間たち。最後に待ち構える絶望は神・ヴァルバニル。
どんな強さや破壊力を見せつけてくれるのだろうと戦々恐々としていたら、、、んー、思ったほどじゃなかったかな。1巻から物語の中心にいただけに存在感だけが膨れ上がってしまったか。
前振りが長かったと言えば聖剣アリアの覚醒。こちらもあれだけ引っ張って最後はあっさりだったので少々拍子抜け。まあ、変わるきっかけなんてそんなもんか。
と、最後なんだからもう少し頑張って欲しかったところはいくつかあるが、それを補って余りある名言のオンパレードだった。
セシリーやルークやリサは言わずもがな、自営騎士団の面々を筆頭に一緒に戦う全員が吼える吼える。絶望を前にしても挫かれることのない強い意志から出た、熱く深く力のある言葉たちに痺れた。
また、ヴァルバニルと違ってジークフリートは短いながらもしっかりラスボスをしてくれたり、最後の最後で物語序盤の必殺技が復活したりと後半の盛り上がりは申し分なし。
登場人物たちを情け容赦なく谷に突き落とし続けてきたこのシリーズ。熱さの点においては右に出る者のいないファンタジーだった。セシリーとルークには「お幸せに」より最大限の「お疲れ様」を伝えたい。
長かったシリーズなのにエピローグ短いな、と思ったら番外編があるそうで。平和になってからのお二人さんに期待していいのかな?