いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」佐伯さん(GA文庫)

藤宮周の住むマンションの隣には、学校で一番の美少女・椎名真昼が住んでいる。特に関わり合いのなかった二人だが、雨の中ずぶ濡れになった彼女に傘を貸したことから、不思議な交流が始まった。
自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて、食事をつくり、部屋を掃除し、なにかと世話を焼く真昼。
家族の繋がりに飢え、次第に心を開いて甘えるようになる真昼と、彼女からの好意に自信を持ちきれない周。素直でないながらも二人は少しずつ距離を縮めていく……
小説家になろう」で絶大な支持を集める、素っ気なくも可愛い隣人との甘く焦れったい恋の物語。


怠惰な少年と高嶺の花の少女によるお隣さんラブストーリー。
周くん(主人公)、君は初めからダメ人間だ。“されて”はいないw
そのずぼら男子高校生の周のお隣さんがクラスメイトの真昼。
可憐な容姿。圧倒的家事能力、というか嫁力。完璧超人という評判と、たまにドジする実際とのギャップ。学校では愛想がいいのに、主人公にだけ素っ気ないという特別感。時折見せる憂いの表情と見え隠れする不幸属性が庇護欲を駆り立てる。まさにパーフェクトヒロイン。
むしろ計算され過ぎていて逆に人間味を感じないなと思っていたのだけれど、プレゼントのエピソードでやられた。欲しいものに砥石を選ぶチョイス、普通の女子高生をすでに諦めている姿勢、ここで真昼像が一変した。これは認めざるを得ない、真昼さんはいいヒロイン。
さて、そんな二人が織りなすラブストーリーは、
帯には「焦れ焦れ甘々ラブストーリー」とあるけれど、これは家族に飢えていた寂しがり屋の少女と、そんな彼女を放っておけなかった優しい少年の疑似家族物語のような。確かに真昼がかわいいシーンは多いのだけど、ラブを感じるところは特になかった。でもその分、お互いに素っ気ないのに、二人に間に流れる居心地の良さは読んでいてとても心地がいい。うん、やっぱりしっかり者のお姉ちゃんとダメな弟の、仲のいい姉弟だ。
あとがきによると、ここから先でちゃんとラブストーリーになるらしい。照れる真昼は想像できてもデレる真昼は想像できないので、二人の心境がどう変わっていくのかが楽しみ。