いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「俺の家に何故か学園の女神さまが入り浸っている件」紫ユウ(角川スニーカー文庫)

自堕落な一人暮らしを送る高校生の俺・常盤木翔和。ある日同じ学年の癒し系美少女・若宮凛を空腹から救ったことがきっかけで、「受けた恩をお返ししたいんです!」学校でもバイト先でも、彼女がついて回るようになり!? 面倒見のいい凛は、バイト漬けでピンチな勉強を根気よく教えてくれて、部屋を掃除して手料理も作ってくれて……気が付けば、“放課後限定の同棲生活”が始まっていた! なぜ俺なんかに構うんだ? 聞いても凛はこう答えるだけ。「これはただのお節介、ですよ?」
無自覚系男子に、健気美少女JKがめいっぱい尽くす! WEB発甘々ラブコメ、大幅加筆により糖度UPで書籍化!!


カースト下位を自称する平凡な主人公に、才色兼備な美少女が何故か猛アタックするラブコメ
自己評価が低く釣れない主人公の気を引こうと、あの手この手でアピールする彼女の健気な姿を愛でるのが、一番の楽しみ方……なのかな。これだけ一生懸命な女の子を応援したい気持ちにならないこともないのだが、ラブを楽しむには理由と経過が足りなくて、コメディを楽しむには思い切りが足りていなし、シチュエーションを生かせていない。なので、どうにもテンションが上がらない。
理由:会って二日目からいきなり好感度MAXで、彼女が彼に惹かれる理由がわからなくて戸惑う
(一応最後に語られるが、一気に好感度が跳ね上がった理由にはなっていなかった)
経過:恋に疎そうな二人をメインに据えるなら、段々惹かれあっていく過程が最も美味しいところだと思うのだけど、それは感じられない。
コメ:コメディとして楽しむにはある程度のハプニングが必要だが、慎重な主人公と真面目なヒロインでは失敗が小さく、かつ少ない。
シチュ:家に入り浸るところが“売り”のシチュエーションだと思うのだが、家に二人でいる時は基本勉強してるだけで「男の子の家で二人きり」ならではでイベントを楽しむシーンがない。
キャラクターの造形は悪くないし、会話のテンポがよくて読みやすい。しかし、考えたキャラクターと設定を見せる技術が足りてなかった。佳作って感じ。