いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔弾の王と凍漣の雪姫5」川口士(ダッシュエックス文庫)

アスヴァール王国の内乱は、勝者となったギネヴィア王女が宝剣カリバーンを正式に継承し、父王の跡を継ぐ形で幕を閉じた。ティグルはブルガスの地で手に入れた黒い鏃にまつわる『魔弾の王』の足跡を追い、ミラたちとともにザクスタン王国へ向かう。ザクスタンでは王家と土豪が対立を深めており、各地で小さな争いが頻発していた。王都を目指し旅をしていたティグルたちは、雪の降る山中で因縁のある魔物ズメイに遭遇する。
激闘の末にティグルと離れ離れになってしまったミラは、ヴァルトラウテと名のる土豪の娘に助けられる。彼女の傍らには、少女と呼んでいい年齢の戦姫の姿があった。山と森の王国で、ティグルとミラは新たな戦いに身を投じる。


オルガ登場回。
国や本人の事情、感情を表に出さない性格は前作とほぼ変わらないが、前よりは口数が増えたような。早々に自分が抱える悩みや問題を吐露して助言を求めているし、ティグルとの会話も初めから積極的。なのでミステリアスさが薄まって素直ないい子の印象が強まった。
ストーリーの方は、また他国の内乱に巻き込まれるお二人さん。ティグルが、行くところで殺人が起こる某探偵に見えてきたw
でも今回は内戦に介入というよりは国内の諸問題の手助けといった感じで、小規模な戦闘があるだけで戦記らしい描写はなし。その分、対魔物の描写が濃い。
象徴的なのが宝剣バルムンクの登場。アスヴァールの宝剣カリバーンに続いて、ザクスタンにも宝剣が出てきた。対魔物では黒弓と戦姫たちの竜具だけだった前作と違い、各国の宝剣が次々と出てきているので、魔物たちとの戦いはより激しく、より大規模になりそう。
次の舞台はブリューヌへ。あそこは潜んでいる魔物が多いので、また戦記よりもファンタジーが濃い回になるかも。