いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「社畜男はB人お姉さんに助けられて――1」櫻井春輝(モンスター文庫)

ブラック企業に勤める柳大樹は、終電間際の駅で、階段で足を踏み外して落下してきた如月玲華を助けた。その後、帰り道で玲華と再会するも、日々の激務のせいもあって大樹は眩暈を起こし倒れてしまうが、玲華に助けられ、彼女の部屋で介抱される。そのまま一緒に食事をすることにした二人。玲華の家のキッチンは、調味料と調理器具は充実しているのに、冷蔵庫にあるのはお酒ばかりで器具も新品同然! 普段の玲華のあんまりな食生活を見かねた大樹が手料理を振る舞うと、それは玲華の胃袋と心をがっつりと掴んで……。料理が得意な社畜青年と、仕事はできるが私生活ポンコツな美人お姉さんが織りなす、ニヤニヤ必至の社会人ラブコメディ!


ブラック企業戦士の主人公が、新鋭企業のやり手女性社長に拾われるラブコメ
今更ながら初モンスター文庫。またウェブ版既読で1巻を買ったのも実は初めて。1巻購入後にウェブ版を読み始めた作品はあるけれど。
さて、そんな個人的初物尽くしな本作を買ったのは、非常に破壊力の高い飯テロ小説だから。
出来上がった料理の描写が優れている作品や、食べる人の様子で料理の美味しさ表現してくる作品など、飯テロ小説にも色々なパターンがあるが、本作の武器は調理過程。作っている描写が細かくわかりやすい。これが想像以上の飯テロ力。
特に普段料理をする人には、やるやると思う調理方法だったり、なるほどと感心するテクニックが出てきたりと刺さる話題が多く、胃袋と共に創作意欲を掻き立てられる。さほど凝ったものは作らず、家にあるもので作れてしまうのもポイント高い。そして最後に“美味しそうに食べる人”でトドメを刺しに来る。くっ、こんなの明日のお昼はチャーハンにするしかないじゃないか。ずるい。
ブコメとしては、仕事では有能なのに私生活はポンコツな美人を愛でるのがメインコンテンツ。
年下ながらSっ気のある主人公が残念美人の可愛さを十全に引き出してくれているので、ラブコメとしての面白さも十分。やっぱりギャップって最高やな。
しかし柳くん、この女性のあしらい方で彼女いない歴=年齢はどう考えても経歴詐称だろうw
1とあるので2巻も出てくれると思う。料理の数もヒロインの可愛さもアップするはずなので次巻も楽しみ。



ちょっと気になったのは『メッセージのやり取り』の章。なんでスタンプが説明文? 折角スマホの画面風になっているのにその意味がなくなっていて物悲しい。そして読みづらい。版権ものがNGなら別の絵でいいのに。