いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「谷中びんづめカフェ竹善3 降っても晴れても梅仕事」竹岡葉月(集英社オレンジ文庫)

谷中に新しくできた高級食パン店のパン職人が、竹善のジャムを気に入ってコラボを持ち掛けてきた。その女性は積極的で、どうやらセドリックに気があるらしい。その上、セドリックの亡くなった妻に似ていると聞いて、紬は内心動揺していた。果たしてコラボの行方は…。そして自分の気持ちに気づいた紬は!? 爽やかな初夏に梅の香りが漂う、おいしい下町人情物語。


紬が自分の恋心を自覚する第3巻。
紬が降って湧いたライバルに心が乱されたり、人のダメな恋路みせられたりと、恋愛成分大増量。
これはちょっと、いや、かなり予想外。
これまで紬や武流のコミュ障が祟った事件や、家族や身近の人の機微の話がメインだったのが一つ。それに二人には歳の差があり、セドリックは子持ちな上に亡くなった奥さんLOVEで、紬も性格的に色恋に積極的なタイプではなかったのがもう一つ。なので、こうしてはっきりと恋愛の方向にベクトルが向くとは思っていなかった。
でも、そういえば『ベランダ』にオレンジ文庫の別作品にと、作者の近作は歳の差カップルの話ばかりだ。好きなのかな?
それにしても紬ちゃん、毒舌で寄るなオーラ出しているのにモテるなあ。前の先輩といい、変人弁護士といい。おまけに虎太朗まで。今回の明確な好意は意外だ。
もう一つのテーマ「びんづめ」の方は怒涛の「梅」押し。第4話で「海」を「梅」と空目してしまうくらいにw
英国紳士が昔ながらの方法で梅干しを丁寧に漬けている姿は、ミスマッチ感が半端ない。でもどれも美味しそうで困る(深夜読書的な意味で)。梅干しに赤梅酢に煎り酒、涎がヤバい。へー、蜂蜜梅ってそうやって作るんだ。知らなかった。
物語は爆弾発言で次回へ。この直後がどうなるのか気になってしょうがない。