いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ネクラとヒリアが出会う時」村田天(富士見ファンタジア文庫)

学校イチのイケメン秀才と評判の佐倉総士と、天使の生まれ変わりと名高い美少女・西園寺ゆりあ。二人はその見た目から、学校中で大人気だったが、中身は極度の人見知りだった! ある日、二人は第二図書室の本棚背中越しに、お互いの顔を知らないまま、佐倉はネクラ、ゆりあはヒリアと名乗りあう。普段外には出せない自分の内面を出しあえる相手として、顔も名前も知らないまま距離を縮めていく二人だが、ある時、ひとさじの好奇心によって出会ってしまって――!?
イケメンなネクラと美少女なヒリア。二人の距離は本棚二つ分。じれったくもあたたかい背中合わせラブコメディ。


外見はクール系イケメン、しかし中身は極度の人見知りで女性恐怖症の気もある佐倉総士
外見は清楚なお嬢様、しかし中身は牛丼と納豆が大好きでノリが良く、友達との馬鹿話がしたい西園寺ゆりあ。
図書室の本棚越しにお互いに顔をしならいまま始まるラブコメディ。

なんとも初々しく可愛らしいラブコメが出てきた。
まずはネクラ君。ここまでテンパりまくる男の子主人公は珍しい。
彼一人の視点では物語が成立しないレベルのテンパり具合だが、その慌てたり凹んだりするポイントが非リア男子には共感しやすく、外見ハイスペックなのも忘れて応援したくなってしまう。
お相手のヒリアちゃん。どこが非リアだ!というツッコミは置いといて、笑いの沸点の低さとノリの良さで彼の数々の失敗を笑いとして昇華してくれるので、ネクラ君(と彼に共感してしまう男子)はどれだけ救われることか。ぐいぐい引っ張ってくれて、率先して牛丼屋に入りたがる彼女。非モテ男子の理想だな……かなり作者の理想入ってますよね?
そんな二人の恋愛模様は、、、何故こんなにもハラハラする?
外見は高嶺の花の二人に周りは見守りムードなので、横槍や邪魔者の心配は一切ないのに、本人たちが初心すぎてよちよち歩きの赤ん坊を見守るような感覚。でも等身大というか、背伸びしていない二人の交際はとても爽やか。
甘さというよりほんわかするラブコメだった。これはこれで良いものだ。