いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?11」手島史詞(HJ文庫)

「デートしたいなら夢の中ですればいいじゃない!
温泉の恩返しにリリスが提案したのは、ザガンとネフィのデートを自らの能力で夢の中で行えばいい、というものだった。夢の中ならどこだって行けるし邪魔も入らない! しかし想像力の低さゆえ結局いつも通りになってしまいザガンは懊悩することに。
そんな時訪ねてきたのは<魔王>ナベリウス。彼の依頼は消息不明の<魔王>を夢の中に捜しに行くことで――。
大人気ファンタジーブコメディ第11巻!

注)裏表紙のあらすじは↑こうなっていますが、内容と合っていません。



右を見れば黒花とシャックスが赤面合戦をしていて、左を見ればバルバロスが無自覚に惚気ていて、やれやれと目線を戻すとザガンとネフィがいつも以上にイチャついている、そんな11巻。
いやもう、どこもかしこも初々しくて。これはゴメリお婆ちゃんでなくても鼻血の一つや二つ垂れますわ。御馳走さまです。
物語としてはザガンの過去がはっきりしてきたり、アルシエラに大きな転機があったりと、重要案件はいくつもあったはずなのだが。それにザガンが事の経緯や世界の状態を鋭く推察・検証してるところが結構好きだったりするんだけど、どちらもその後のラブコメの波動という名の”いてつく波動”で全部吹き飛ばされちゃうw
城内の緩さも相変わらず。
魔王対策の話し合いよりも娘の恋愛事情を話し合う家族会議の方が参加者が多くて真剣だし、魔王に空席が出ることの影響について深刻に話し合っていたと思ったら、結婚指輪の話題に乗っ取られてしまうし……おかしいな、割と世界が危機的状況になっているはずなんだけど。まあ、これがザガンファミリークオリティか。
それでいて、締めるところはしっかり締めていくのがザガン様。
身内だけでなく目と手が届く範囲に助けを求める者を救うために、無茶を押し通すその姿。最高に格好いい。あの背中を見たら、かの姫が無茶をしでかすのも納得だ。
今回も甘さと温かさを十分に堪能できた。面白かった。
そしてまた、一組の初々しいカップルが誕生して次回へ。ゴメリの血は足りるのか?(←世界の存亡よりも気になる事項)