いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「おいしいベランダ。 あの家に行くまでの9ヶ月」竹岡葉月(富士見L文庫)

まもりと葉二は婚約者となった。同時に葉二は仕事のため神戸に、まもりは大学卒業まで関東で暮らす遠距離恋愛に!
これまでみたいに一緒にご飯を食べられない分、食べたものを報告しあいましょうね……って、さっそくトラブル発生ですか!?
両家の顔合わせをきっかけに、急ピッチで結婚式準備や卒論、就職準備をするまもりは大わらわ。けれど、神戸で過ごす葉二にはその焦りや悩みが上手く伝わらない。
さらには、葉二の自宅とつながっているはずのビデオ通話に、見知らぬ女性が映り込み――!?


まもり卒業まで東京へ 離れ離れで大忙しの第9巻。
前半のハイライトは新キャラお隣さんの福武君(大学二年)登場。しばらく一人寂しくかと思っていたけど、そりゃあ部屋が空いたら入居者いるよね。
例によって魔性の栗坂家パワーで惚れさせてしまうのだが、今更まもりが他の人に揺らぐ心配はしていないので、語り部として使われてしまっている件を含めて、ただただ福武君が気の毒っていう。
そんな可哀想な青年を無自覚で振り回すまもり嬢は、言動がどう見ても葉二色に染まっていて嬉しいけど微妙に複雑な気分に。
突発的な自炊教室で見せる、後輩使いの荒さや押しの強さがまんま葉二で苦笑い二割ニヤニヤ八割。それに教える料理も。なるほど、こうして502号室伝統のずぼら料理は継承されていくのですね(違う
後半は顔合わせの席で親たちに押し切られた結婚式準備が波乱を呼ぶ。
まもりの八方美人が裏目に出る話はこのシリーズの定番ではあるけれど、結婚式の準備なんて卒論がある大学四年生にやらせることじゃないでしょう、お母様にお義姉様。本人が乗り気じゃないならなおさら重荷にしかならないよ。今回ばかりはまもりに非はない思う。
そんなことより、後半のハイライトは葉二の会社の人たちとのオンライン飲み会での顔合わせ。まもりが葉二に対して終始攻勢という珍しいイベントが楽しいのと、どうやら神戸に行っても味方が多そうで、神戸で始まる新婚生活がさらに楽しみになる内容だった。
今回も変わらずパワフルに動くまもりが読めて満足。面白かった。
次回『亜潟まもり』スタート編。と思ったら、それで最終巻の予定だそうで。寂しいけれど、キリも良いし仕方がないか。ところでこの二人、新婚旅行にはいけるんだろうか?(無理そう)