いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「プロペラオペラ4」犬村小六(ガガガ文庫)

極東の島国・日之雄。その皇家第一王女イザヤは21才。同い年のクロトは10才の時にイザヤにとんでもない“狼藉”をはたらき皇籍剥奪された曰く付き。しかしふたりは今、空雷艦隊司令官と、その参謀として国民の人気を独占する! 暇で平和な護衛任務の日常。しかし、イザヤとクロトには余計な催し物が待っている! 艦内プロレス大会だと!? 言語道断である! 一方、在ニューヨーク諜報員のユーリは宿敵カイルの懐に決死のダイブ! かくして日之雄とガメリアは、史上最大最悪の三角関係が引き起こす大決戦へと加速していくのだ!


戦士たちの束の間の休息、な第4巻。三部構成でイザヤ、リオ、ユーリが幸せを甘受するラブコメ回。
第一部のイザヤは、思いっきりバカやってるプロレスに、初めてのお酒で羽目を外してクロノとイチャイチャする食事会と、青春ラブコメそのもの。イザヤがクロノに想われて幸せを感じるいくつかのシーンの甘さが際立っていた。
第二部はリオと速夫の無人島サバイバル生活。
二人きりのサバイバル生活で身分を超えて惹かれあう二人。身分と時代に許されなず、本音が言えない切ないラブロマンスが繰り広げられていた。リオのこれまでで最も楽しそうな姿が印象的。
第三部は窮地から一転、(表向きは)上手くいってるユーリのスパイコメディ。
ラスボス・カイルの変態性をネタにして冗談を言い合える仲間を得たユーリが嫌々ながらも楽しそう。
どれも、太平洋戦争をモチーフにした作品とは思えないライトノベルらしい軽い雰囲気の話だった……先のことを考えなければ。
これが最後だから遊べるタイミングで思いっきり遊んでおこう、という感じしかしない。幸せ時間が濃ければ濃いほど、現実が突きつけられた時のドラマが劇的になる、つまり「上げて落とす」そういうことなのだろう。
日乃雄の若者たちに酷いことする準備が整ってしまった。次回が楽しみだけど恐ろしい。