いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「七つの魔剣が支配する VII」宇野朴人(電撃文庫)

キンバリーの今後を左右する一大イベント、決闘リーグの開幕が迫る。三年生に進級し成長を見せるオリバーたちは、そのために三人一組のチームを組むことになった。同学年の中でも実力上位と目されるナナオらは、他チームから徹底的にマークされて厳しい戦いを強いられる。
一方で、例年以上に豪華な報酬と特殊なルールは、教師殺しの犯人を探すための教師陣の罠でもあった。さらに次期学生統括の座を巡る選挙戦もその影響を受け、駆け引きは激しさを増す。
そんな中、ユーリィが追いかけていた「骨抜き事件」の犯人、サイラス=リヴァーモアが動き出す。激動のキンバリーで、屍漁りの魔人は何を企むのか――。

三年生編スタートな7巻。
二学年ごとの学内最強を決める決闘リーグが開幕する。

こんなに爽やかなシリーズだったかな?と若干戸惑うくらい、純粋にバトルアクションしている回だった。
決闘リーグが学生統括選挙戦の勢力争いに影響しくるみたいなのだが、かといってどちらの陣営も汚い策謀はしていない。肝心の決闘の方も、強者を蹴落とすための事前の根回しや共闘くらいはあっても誰かの後ろ暗い陰謀はなく、あらすじにある教師陣の罠も、上級生と教師を戦わせただけでオリバーには関係なしと、ストーリーの中心にあるものが憎悪と陰謀が渦巻く復讐劇のシリーズとは思えない外連味のなさ。強いて挙げるなら、上級生が一人変な動きをしているくらい。これも今のところオリバー達には直接関係ないが。
さて、そんなわけで余分なことを考えずに競う姿戦う姿が読めた決闘リーグ。真っ先に出て来る感想は、
オリバー君、やっぱりドMだった。
あの驚異的な我慢強さはそうじゃないかと思ってたんだよね。必要以上にピンチを背負おうとする立案といい、戦いの後に仲間に叱責を求める姿といい、ドM以外何者でもない。
後は気になったのは諸事情でオリバー、ナナオと組んだ探偵・ユーリィ。今のところ「何しに出てきたんだこいつ」状態。足枷かな? 有能そうな空気だけは出しているので、次回は活躍があるのかもしれない。
ちなみに戦い自体は、やや冗長なオリバー・ナナオ組よりもガイ、ピート、カティの組の方が面白かった。こちらはもうちょっと長く読みたかった。
物語は決闘リーグの途中、珍しく明確に「続く」の形で次回へ。
教師陣の追及は下級生にも及ぶのか、骨抜き先輩の目的は? そして決闘リーグの行方は。気になることがいっぱいで次回も楽しみ。