いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「おいしいベランダ。 午前10時はあなたとブランチ」竹岡葉月(富士見L文庫)

無事に大学を卒業し、神戸で葉二との新婚生活をはじめたまもり。
遠距離から、一緒に食卓を囲んで手料理を食べられるようになり、幸せいっぱい……と思っていたのに、結婚式にむけたダイエットという名の強敵が襲う!?
さらに、希望通りの仕事に配属されたはいいものの、まもりは同期の急な無断欠勤やパワハラ疑惑の対応でてんやわんや。葉二さん、市民農園を借りられるかもって浮かれている場合じゃないですっ!
ベランダ菜園からはじまった関係は、形を変えて続いていく。大人気シリーズ本編、堂々の完結!


シリーズ最終巻。
社会人になっても、東京から神戸に移っても、栗坂から亜潟に変わっても、まもりはまもりだった。
身近な問題に勇み足で首を突っ込んで叱られて、でもそのおかげもあって事態は好転して。危なっかしくてドタバタだけど笑顔で読み終われる、このシリーズらしい社会人一年生エピソードだった。
本人の動かずにはいられない性格によるところが大きいが、まもりの計算も打算もなしにとにかく動いてみようの精神は本当に尊敬する。そう思っていたのは、読者だけでなく隣の男も同じだったようで。
迎えた二人の結婚式。
式場選びから無駄が多いケーキ入刀をケーキ配りにしてしまう辺りまでは普通にこの二人らしいなと、それと関係者の勢ぞろいに最終回らしいな、くらいの感想しかなかったのだが、その先はサプライズの連続だった。
あの面倒くさがりで他人に弱みを見せるなんて絶対嫌な葉二が自ら黒歴史を作っていく。結婚式テンションって怖いわー。いやまあ、葉二がどれだけまもりを好きかが分かって嬉しかったし、まもりの涙にもらい泣きだったけどさ。
そしてビックリの引き出物。二人の趣味にして馴れ初めではあるが、着飾った招待客にそれをやらせちゃうのか。葉二の“俺様”感とまもりの思い切りの良さを、かなり予想外な形で見せつけられてしまった。
いついかなる時に読んでも、まもりには元気を、二人には幸せをお裾分けしてもらえる大好きシリーズだったので、終わるのは寂しいけれど、その先がいくらでも想像できるハッピーエンドで感無量。
番外編があるみたいなので、楽しみに待とうと思う。