いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「七つの魔剣が支配する VIII」宇野朴人(電撃文庫)

最上級生たちが登場し、さらに盛り上がりを見せる決闘リーグ。一方その裏で、ゴッドフレイの骨を奪還するため、ナナオたちはリヴァーモアを追い、地下迷宮の放棄区画へと突入した。
無数の死者が住まう王国で幕を開ける、決闘リーグでの三人一組に上級生を加えた編成での捜索。数多の骨獣から古代の秘術によって作られた無貌の古人まで、リヴァーモアの使役する使い魔が息つく間もなく彼らに襲いかかる。さらにはレオンシオ陣営も捜索の妨害に回り──。
人間ひとり分の骨を蒐集したリヴァーモアの目的とは。そして、『棺』の真実にたどり着いたオリバーが取る道は──。


決闘リーグの予選と本戦の間。前巻のラストで奪われたゴッドフレイ先輩の骨を奪還する作戦が決行される8巻。

キャラクターが増えすぎて誰が誰だかわかんねえ!
選挙戦絡みの骨奪還作戦は両陣営で多くの人員をつぎ込み、陣営に関わらず作戦に参加した三年生の様子をすべて追っていくので、キャラクターが多いのに視点があっちこっちに飛ぶ。しかも、やっているのはどこもアンデッド集団との戦闘で、対人戦のような駆け引きがなくあまり変わり映えしない。おまけに名前呼びと苗字呼びと愛称呼びが入り混じって飛び交う。
パニック\(^o^)/
主要メンバー6人と関わりの深いキャラクターくらいはフルネームで覚えていても、パっと出の先輩方や対戦相手の同級生なんて覚えているはすもなく、一々登場人物一覧に戻って読んでいたので、読み終わるのに通常の倍以上かかった。それでも登場人物一覧にある名前ならまだいいけど、そこに名前がない人と覚えのない愛称はお手上げ。ミンとかスーとか誰やねん。ロッシが苗字で名前がトゥリオなのは登場人物一覧で初めて知ったよ。
と、なんだかなーと思いながら読んでいたのだが、終盤は一転。
登場人物がオリバーと近しい人数名に固定され、骨抜きの主犯・リヴァーモア先輩の過去と目的とが明らかになる終盤は一気に面白くなる。
余分な人が入ってこないで物語に集中できたのもあるが、話が個人の理想と意地と優しさがぶつかり合う人間ドラマになったのが大きい。このシリーズは愛憎渦巻く人間ドラマがあってこそだ。
これが対教師陣だと、これに緊張感が加わってさらに面白くなるのだが。そろそろ三人目にいかないかな。