いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「つばめ館ポットラック ~謎か料理をご持参ください~」竹岡葉月(集英社オレンジ文庫)

道家の夢破れ、普通の女の子になるべく女子大に進学した沙央。入居したアパート・つばめ館では、手料理持ち寄りのポットラックパーティーが開催されていた。女子力皆無の沙央は、まともなものえお作れず、料理上手の男子大学生・宗哉に嫌みを言われる日々。ある日、大学で幽霊の目撃談を聞いた沙央は、次のパーティーに 『謎枠』で参加することにしたのだが……!?


素敵マダムな大家さん主催で月に一回、手持ち料理か『謎』を持ち寄るポットラック・パーティーが催される学生アパート・つばめ館。そこに入居したのは一年・小田島沙央。高校まで打ち込んだ柔道を怪我で引退した彼女が、荘の住人や大学の友人と交流しながら普通の女の子になるべく奮闘する物語。日常ミステリ風味。

サバサバ系女子を書かせたら右に出る者はいない竹岡先生の新作は体育会系の世界で生きてきた柔道少女。ピッタリですね。
とにかく前向きにガンガン進んでいくタイプで、最近の竹岡作品の中でも最も猪突猛進タイプ。曲がったことが嫌いな性格で良くも悪くも躊躇しないで即行動即発言な思い切りのよさ。ポットラック・パーティーに持ち込まれる『謎』に対する姿勢も、考えることは人任せで、とにかく動いて解決しようとする。同じ新入居者の男子・宗哉が頭脳労働派で諸々ハイスペックなのに細かいことをうじうじと悩むタイプな為、その対比もあってパワフルに動く姿が見ていてスカッとする気持ちのいい娘。
また、つばめ館の先輩方も、がっつり肉食女子(肉食系ではない)でサバサバ具合が沙央に負けてない浜木綿カレンに、寺の息子なのに優男でプレイボーイな堀下顕正、エレガントでミステリアスな大家さんと濃ゆいメンバーで、そんな彼らのやり取りが楽しい。
それと、忘れちゃいけないのがポットラック・パーティーに持ち込まれる料理。
月に一度のこの日の為にちょっと手の込んだ料理がどれも美味しそう。中でもスープやシチューなど汁系には力が入っている。最後のトムヤムクンは……あれもある意味力が入っているかw
今度の新作も面白かった。濃いメンバーが揃っているので今後が楽しみ。今回はサポート役だった先輩たちにも色々ありそうだし。
それに沙央と宗哉の関係は気になるところ。今のところソリの合わない凸凹コンビだが、お互いの長所が短所をいい感じに補う合ってる二人なので、ふとしたきっかけで一変しそう。