いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「負けヒロインが多すぎる!2」雨森たきび(ガガガ文庫)

夏休み後半。たまたま喫茶店でだべっていた俺と八奈見は、驚くべき光景を目にする。焼塩と、その思い人である綾野が2人きりで会っていたのだ。さらには、2人を尾行する綾野のカノジョ――“勝ちヒロイン”朝雲千早ともニアミスしてしまう。
「私は光希さんと焼塩さんの浮気を疑っています」
あれよあれよと巻きこまれた俺たちは、朝雲とともに真相を探ることに。焼塩にかぎってそんなことはと思う。でも、2人きりのときの、あの想いがにじんだ顔は――。
はやくも人気沸騰の負け確ラブコメ、待望の第2弾!


2巻は1巻では二人目の負けヒロイン、陸上少女檸檬ちゃんの恋の終わりを描いた夏の終わりの物語。
よかった。負けヒロイン=かわいそうな子は増えなかったよ。
それはそれとしてストーリーもよかった。青春ラブコメとして1巻を大きく超えてきた。
好きな人の幸せを願う気持ち。好きだと伝えられなかった後悔。まだチャンスがあるんじゃないかという期待。でもそんな期待をしてしまう自分に対する嫌悪感。大好きなあの人に彼女が出来てしまった少女の揺れ動く感情が繊細に描かれていた。そんな色々な感情が頭の中でぐちゃぐちゃになっていても、それでも明るく振る舞おうとする檸檬の健気さが切なさに輪をかける。
また、そんな彼女を踏み込み過ぎない距離感で、でも出来る範囲の精一杯でフォローして見守って励ます、温水の優しさと友達甲斐にもグッとくる。自分を卑下する自虐的な地の文が多いけど、いい男なんだよなあ。
一方その頃、メイン負けヒロインの八奈見さんは暴飲暴食の限りを尽くしておられた・・・。炭水化物と甘味ばっか食ってんじゃねーよ! 完全にコメディ担当、これは成るべくして成った負けヒロインですわ。すでに脳内イメージが挿絵を無視しておデブちゃんになってる。テーマソングはカロリークイーンで決まりですな。
相変わらず主人公は表舞台に立とうとしないけど、1巻に比べて青春感が濃くなっていてとても良かった。
次回は残念カロリークイーン八奈見さんの窮地(自業自得)の話。もう温水少年が引き取るしかないんじゃないかな?w