いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち (3)」佐島勤(電撃文庫)

九校戦を目前に控え、第一高校も熱気に包まれていた。アリサはクラウド・ボールの代表候補に選ばれる。自身の他人と競い合うことが苦手なことへの克服のきっかけになるのではないかと前向きに受け止めていた。
マーシャル・マジック・アーツ部も定例の三高との交流試合に向けて練習に熱が入る。特に茉莉花は今回の交流試合に闘志を燃やしていた。絶対に倒したい相手がいるから。
一条茜。十師族に連なる一条家の長女にして、女子マジック・アーツ界の超新星とも言われるエリート。最強のライバルとの負けられない戦いに茉莉花が挑む!


九校戦の新人戦代表候補に選ばれたアリサは争うこと競うことの出来ない性格の克服を。部活の交流戦で三高と試合をすることになった茉莉花は一条茜に勝つために特訓を。それぞれの課題に打ち込むスピンオフ3巻。
基本的には茉莉花ちゃんガンバルの回。

清く正しい学生ライフって感じだ。なんだかそれがとても眩しい。
純粋に部活に情熱を傾ける姿。定期試験対策に苦しむ姿。その間に友情や色恋沙汰で悩む姿。なんて高校生らしいんだ。デカい騒動に撒きこまれ続けていた達也たちの派手な高校生活とあまりに違って、凄く普通なのにかえってそれが新鮮に映る。
特に今回はサポート役に回ったアリサに代わって主役を張っていた茉莉花は、チーム内選考で見せた貪欲さといい、ライバルに勝つための研究と特訓といい、試合後の対応といい、まさに青春スポ根ものの主人公な活躍で、読んでいて清々しい。
そんな『魔法科高校の劣等生』らしくない学生生活の合間に、一生懸命不穏な空気を出そうとする幕間があるのは“らしさ”かな。ただ、このシリーズの裏でコソコソしている人たちは総じて詰めが甘くて成功例がないので、あまり不安にならないっていうw 麗蕾に仕掛けられたものだけは本気で不穏だけど、話の規模が大きいので恐らくお兄様案件、要するに心配無用だろう。
次は九校戦(まだ準備編かもしれないけど)。本編でも最も盛り上がったところだけに楽しみ。