いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「あおとさくら」伊尾微(GA文庫)

クラスになじめない高校生・藤枝蒼。彼は放課後通い詰めていた地元の図書館で、一人の少女と出会う。
「私の名前、教えてあげよっか」
「いいよ、別に」
日高咲良と名乗る彼女は、明るく屈託がなくよく笑う、蒼と対照的な少女だった。通う高校も違えば、家も知らない。接点は、放課後の図書館だけ。共通の話題すらないままに、なぜか咲良に惹かれていく蒼。しかし、蒼と咲良、ふたりには人には言えない秘密があった――。
「やっぱり君、変な人だね」
その出会いはやがて、恋へと変わる。少しずつ、歩くような速さで。きっと誰もが憧れる、最高にピュアな青春ボーイミーツガール。

第14回GA文庫大賞〈金賞〉受賞作


両親の無関心で笑えなくなった少年が、図書館で同い年の少女と出会ったことから始まる青春ボーイミーツガール。
快活な少女との逢瀬で少年は徐々に感情を取り戻していくが、関係が深まるにつれ彼女の心の傷が見え始めて……というストーリー。

大好物のシチュエーションなので期待したのだが、、、かなり微妙。
主人公の自虐一人語りがくどいとか、話が冗長=無駄な説明が多くて全体的に間延びしているとか、シーンとしては悪くないけどボーイミーツガールとしてどうなの?と思うラストシーンとか色々あるが、最大の問題点は二人が自分の感情をぶつけ合うはずだった5章。
君たち、もっと何か言いたいことはないの? 全く熱を感じないのだが。
少年よ、失踪した彼女を苦労して探し出した情熱はどこに行ったんだ。少女よ、見ず知らずの笑わない少年を救おうとする行動力はどこいった。言い訳と逃げの台詞のオンパレードな会話と、筋が通っていない主義主張に幻滅。会話が微妙に噛み合ってない箇所があるのも読んでいて気持ちが悪い。最も肝心なシーンで最も盛り下げてどうする。
期待してだけに悪いところばかりが見えてしまった感は否めないが、これが金賞なの?と思わずにはいられない。