いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち (4)」佐島勤(電撃文庫)

『九校戦』。そこでは毎年、全国から魔法科高校生たちが集い、熾烈な魔法勝負が繰り広げられる。
大会六連覇がかかっている一高も熱気に包まれていた。新人戦クラウド・ボールの選手に選ばれたアリサも練習に余念がない。コンディションは万全。後は本番を迎えるのみだった。
茉莉花も新人戦ミラージ・バットの選手候補に選ばれていた。候補は三人、出場できる選手は二人。栄誉ある九校戦に出場するためにしのぎを削っていた。
もちろん、九校戦に熱を注いでいるのは一高だけではない。全国九つの魔法科高校が優勝という栄光を目指し、激突する!
そして、いよいよ九校戦の幕が上がる――。


某国の横槍もなく、マフィアが賭け事していることもない。なんて平和な九校戦なんだ(感覚麻痺)
但し、大人の思惑が影響して競技に集中出来ず、本来の力を出せなかった生徒が多くいたけれど。この要素要る? 純粋に青春スポーツ小説してた方が絶対面白いのに。何かしら陰謀を絡めないと気が済まないのは作者の悪い癖だ。
あと、この巻で九校戦が完結しているのだけど、全体のバランスがおかしいのも気になる。
上級生の競技が前半戦は内容までちゃんと描写されているのに、後半戦は結果だけで内容すっ飛ばし。新人戦では茉莉花のミラージ・バットは出場に至る経緯から競技まで内容が濃いのに、アリサのクラウド・ボールの描写は驚くほど淡白。上級生の競技もやるなら後半もちゃんと描写するか、新人戦に絞るならアリサの競技も茉莉花並に濃くするか、どちらかにしないとアンバランスだ。どうしてこんなちぐはぐになったのか謎。
それでも、内容が濃かった茉莉花VS茜のミラージ・バットは面白かった。それぞれの特性を生かした第一ピリオド。戦術変更の妙が出る第二ピリオド。奇策の発動の第三ピリオド。とこの巻のハイライトに相応しい盛り上がり。本当の決着は二人の本業マーシャル・マジック・アーツに持ち越しな展開も熱い。
次は本編キャラも登場?な話になるそうで。そんなことより茉莉花VS茜が楽しみ。