いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち (5)」佐島勤(電撃文庫)

白熱の九校戦が幕を閉じて充実感に浸るアリサたち。だが茉莉花にとって夏はまだ終わらない。全日本マーシャル・マジック・アーツ大会が目前に控えているからだ。
宿命のライバル・一条茜への雪辱に燃える茉莉花は、更なるレベルアップのため、マジック・アーツ部の合宿に参加する。同行するアリサたちと特訓をしたり、川原で水遊びをしたりと楽しくも充実した日々を過ごす茉莉花だが、打倒・茜へあと一歩何かが足りずに悩む。そこに助っ人として現れたのは、第一高校伝説の卒業生・司波達也の友人だった、千葉エリカ西城レオンハルトで――。


九校戦が終わって夏休み後半戦。茉莉花はマジック・アーツ部の合宿と全国大会、アリサはそれに付き合う形で山へ行ったり茉莉花の応援に行ったり。水着もあるよ!な第5弾。

レオでたー! エリカもでたー!
これぞスピンオフ作品の醍醐味。レオが先輩面してることにニヤニヤしてしまう。エリカは初めから偉そうなのであんまり変わってないけれどw でも、彼女が師匠ポディションで新シリーズの主人公を覚醒させる展開は熱いし嬉しい。ところで茉莉花とアリサが訪れる前の二人は同じ部屋でナニしてたんですかねえ(ゲス顔)。まあこの二人では色っぽいことは何もないと思うけど。
そんなレオとエリカから師事を受けた茉莉花は、大会前の試行錯誤に地方予選での部長との熱戦、本大会では認め合ったライバル(茜)と鎬を削りと、熱血スポーツ少女の面目躍如。少年漫画的な単純明快で燃える展開がとても面白かった。前回の九校戦よりスポ根感が強くて良い。
一方、アリサはやけに百合ムーブが強調されていた。
強いコレジャナイ感。言っちゃ悪いが女性声優の百合営業のようなわざとらしさを感じてしまった。
地の文で明確に鮮明に説明する、絵画で言うところの写実的な描写の作風と、公に出来ない秘めた思いを表現するために行間を読ませたり想像(妄想)の余地を残すような抽象的な描写でこそ生きる百合は、元々噛み合わせが悪いので、無理にそちらに寄せることはないと思うのだけど。描写が少ない茜×レイラの方がそれっぽい空気を感じるくらいだし。
本作はここで一区切りで今後の展開は未定だそうで。この先がどんな展開になるか読めないので楽しみ。アリサの苦悩は増えていく事にはなりそうだけど。